NBRP ナショナルバイオリソース ニワトリ・ウズラ

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名古屋大学大学院生命農学研究科附属
鳥類バイオサイエンス研究センター
〒464-8601 名古屋市千種区不老町

ニワトリ ウズラ
野生原種高度近交化系長期閉鎖系閉鎖系
疾患モデル系育成系TGニワトリ
始原生殖細胞株(Primordial germ cell lines)
標準系大型系 疾患モデル系
ミュータント系TGウズラ 別種のウズラ
マイクロサテライトマーカー mtDNA多型情報
遺伝的多様性アリル頻度分布図
血液生化学データGRAS-Di多型情報
表現型一覧 遺伝的多様性接種中のワクチン
血液生化学データ日本鶏の遺伝学的調査

高度近交化系

GSP 系GSN/1 系PNP/DO 系YL 系BM-C 系

ファヨウミ種由来 GSP 系

由来
日生研より導入(2004年)
特性
コロニー: 岡崎種畜牧場より導入したエジプト原産のファヨウミ種の雄2、雌1が起源の近交系である。<交配様式>
羽装: 黒色タイプ(横縞模様)のファヨウミ種
体重: 成雄:1.8 kg、成雌:1.2 kg
繁殖: 受精率: 81.9 %(1回目)、72.4 %(2回目)、
ふ化率: 76.3 %、育成率(5週齢まで):87.9 %
生理学的形質: 血清IgG値:雄 474.0±112.6 mg/dl、雌 1,532.8±154.9 mg/dl、成長に伴う血清IgG値の変化も検索されている。白血球数:雄 54,500±4,009/mm3、雌 67,437±8,908/mm3 (リンパ球 68.6 %、顆粒球 18.6 %、単球 12.6 %)
遺伝学的形質: 血液型はA4、B21、E1、C3、D4、H2、L1、k、P2にそれぞれ固定している。BシステムのB-G領域のRFLP型は固定しているが、B-F領域のRFLP型(RfpY型)は分離している。その後の分析ではBF2、BLB2はマレック病抵抗系のCornell-N系(B21)と同じ塩基配列であることが判明している。 系統内での皮膚移植が可能であるとともにGSN/1系との皮膚移植も可能である。種々の植物レクチンによリ識別される血液型も固定している。ブタパルボウイルスに対して赤血球が陰性系である。白血病関連の標識遺伝子としてはC/ABE、gs抗原陽性、chf活性陽性である。遺伝性の頚部を内側に曲げる個体が少数出現する。血清アイソザイム型について調べられている。2',5'オリゴアデニール酸合成酵素はA/A型に固定している。オルニチントランスカルバミラーゼ遺伝子は長さの長い型に固定している。AFLP法により算出された近交係数(BS値)は96%である。チトクロームb遺伝子が調べられている。性格に関連するとされているド−パミン受容体D4exon1相同領域において反復回数が9回と長い型(9/9)に固定している。セロトニントランスポーター遺伝子も調べられている。 FAOが推奨しているマーカーを含む21常染色体上にそれぞれ均等な距離で存在し、多型性の高い40マイクロサテライトマーカーの調査結果で、3ローカスが分離、37ローカスが固定していた。 精巣にメラニン色素が沈着する固体がかなりの頻度で出現する。 左側卵巣の除去実験における右側卵精巣の発達に伴う第二次性徴がPNP/DO系との比較で調べられている。
抗病性: マレック病腫瘍細胞生着率は 40.9 %、平均腫瘍生着体積は39.87x103mm3である。 Mx遺伝子はインフルエンザ等のウイルスに対して感受性型である。
免疫応答: ニホンウズラ赤血球およびBSAに対しては高応答系で、ともにショック死率が高い。BSAに対する抗体の受身アナフィラキシー活性は成長に伴い上昇する。 羊赤血球、ブルセラ菌及びILTウイルスに対する免疫応答性がよい。PHA-P皮内反応による翼膜の肥厚が調べられ、PNP系より高いことが判明している。Mycoplasma gallisepticum に対して高応答性。同種赤血球に対する免疫応答性が調べられている。
利用
種々の免疫学の研究、マレック病の研究、レトロウイルスを用いた発生学的解析実験
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ファヨウミ種由来 GSN/1 系

由来
日生研より導入(2004年)
特性
コロニー: エジプト原産のファヨウミ種の雄 3、雌 2が起源の近交系である。
<交配様式>
羽装: 茶色タイプのファヨウミ種
体重: 成雄:1.3 kg、成雌:1.2 kg
繁殖: 受精率: 77.4 %(1回目)、75.0 %(2回目)、ふ化率: 79.4 %、育成率(5週齢まで):96.0 %
遺伝学的形質: 血液型はA4、B21、E1、C3、D4、H2、I5、L2、P2にそれぞれ固定している。Kは2あるいは3である。BシステムのB-GおよびB-F領域のRFLP型は固定している。BF2、BLB2およびBG1はマレック病抵抗系のCornell-N系(B21)と同じことが判明している。系統内での皮膚移植が可能であるとともにGSP系とも皮膚移植が可能である。種々の植物レクチンにより識別される血液型に関しても固定している。ブタパルボウイルスに対して赤血球が陰性系である。白血病関連の標識遺伝子としてはC/ABE、gs抗原陰性、chf活性陰性である。血清アイソザイム型について調べられている。視神経異常を呈する個体が出現する。 異常個体の瞳孔反射は正常であるが、中脳視葉の皮質、上繊維性灰白層の層構築の乱れが全例に観察され、視覚路に先天的な異常があると思われている。緑色に対して反応が悪い。2',5'オリゴアデニール酸合成酵素はA/A型に固定している。オルニチントランスカルバミラーゼ遺伝子は長さの長い型に固定している。AFLP法により算出した近交係数(BS値)は97%である。性格に関連するとされているド−パミン受容体D4exon1相同領域において反復回数が9回と長い型(9/9)に固定している。多型性の高い40マイクロサテライトマーカーの調査結果で、すべてのローカスが固定していた。
抗病性: 鶏痘およびマレック病に対してはともに抵抗性と思われる。
免疫応答: ニホンウズラ赤血球およびBSAの頻回免疫によりショック死を起こしやすい。羊赤血球およびブルセラ菌に対する免疫応答性がよい。 同種赤血球に対する免疫応答性が調べられている。
利用
種々の免疫学の研究、色覚機構の研究モデル、レトロウイルスを用いた発生学的解析実験、マレック病の研究
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ファヨウミ種由来 PNP/DO 系

由来
日生研より導入(1997年)
特性
コロニー: PNP系より育成された系統である。雄5-6、雌6-10のクローズドコロニーで維持している。
羽装: 茶色タイプのファヨウミ種
体重: 成雄:1.7 kg、成雌:1.2 kg
繁殖: 受精率: 63.0 %(1回目)、61.1 %(2回目)、ふ化率:54.5 %、育成率(5週齢まで):91.7 %
生理的形質: 血清中のIgG値:雄 1,042±110.0 mg/dl、雌 1,560.3±297.3 mg/dl、成長に伴うIgG値の変化も調べられている。本系統の雌の輸卵管は成長に伴い左右両側とも発達する。発達の程度には個体差が存在する。 輸卵管2本が総排出腔に開口する個体が約90%出現する。右側輸卵管の成長が正常個体より発達する個体の出現率は99%位である。 生殖線では左右それぞれに特異的なタンパク質のスポットが見出され、そのタンパク質を生産するもととなるmRNA発現に差異のあることが示唆されている。 本形質は常染色体性の優性遺伝子により支配されている。腎臓の欠損個体が 10 %位出現する。 腎臓欠損個体はdouble oviductの発達の軽い個体において出現率が高い。すなわち、double oviductの発達程度がよいと腎臓欠損個体は少ない傾向がある。血液型はPNP系のそれと同じである。
遺伝学的形質: 血液型はA4、B1、E1、C3、D5、H2、I5、L2、P2にそれぞれ固定している。Kは2あるいは3と思われる。 BシステムのB-G及びB-F領域のRFLP型は固定しており、系統内での皮膚移植が可能である。種々の植物レクチンにより識別される血液型も固定している。 ブタパルボウイルスに対して赤血球凝集性は陰性である。血清アイソザイム型について調べられている。 血清及び卵内のIgY濃度が調べられ,他の系統より高いことが判明している。白血病関連の標識遺伝子としてはC/BE、chf活性陽性である。 2',5'オリゴアデニール酸合成酵素はA/A型に固定している。オルニチントランスカルバミラーゼ遺伝子は長さの長い型に固定している。PCR-SSCP 法により算出した近交係数は77.1%、AFLP法では96%である。性格に関連するとされているド−パミン受容体D4exon1相同領域の反復回数が9回と長い型(9/9)に固定している。 セロトニントランスポーター遺伝子も調べられている。多型性の高い40マイクロサテライトマーカーの調査結果で、3ローカスが分離、37ローカスが固定していた。
抗病性: マレック病に対する感受性は発生状況から判断すれば抵抗性と思われるが、MDJ1株の初生雛への皮下接種実験の結果は感受性と思われる。 マレック病腫瘍細胞の生着率は 88%、5週目における生着腫瘍細胞の平均腫瘍体積は 40.90×103mm3である。 ニワトリ骨髄芽球症ウイルスによる発症率は 90.3%である。トリレオウイルスの増殖性が非常に良い。
免疫応答: PHA-P皮内反応による翼膜の肥厚はGSP系より薄い。ニホンウズラ赤血球およびBSAの頻回免疫を行ってもショック死率は低い。 BSAに対する抗体の受身皮膚アナフィラキシー活性は成長に伴い低下する。羊赤血球およびブルセラ菌に対しては抗体応答がよい。 同種赤血球に対する免疫応答性が調べられている。
利用
発生学および進化に関する研究
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ファヨウミ種由来 YL 系

由来
日生研より導入(2004年)
特性
コロニー: 角膜変性を伴う暗色羽装であるが黄色の脚色を呈するファヨウミ種の雄1、雌1が起源の系統である。雄 4-5、雌 5-8のクローズドコロニーで維持している。
羽装: 黒色タイプ(横縞模様)のファヨウミ種
体重: 成雄:1.3 kg、 成雌:1.0 kg
繁殖: 受精率: 58.5 %(1回目)、53.7 %(2回目)、ふ化率:71.2 %、育成率(5週齢まで):91.5 %
病理学的検索: 中・大雛時より換羽に伴い羽色が白色化するミュータント系である。 白色個体の組織学的検索では左右甲状腺にプラズマ細胞を主とするリンパ系細胞の著しい浸潤とリンパ濾包の形成が随所に認められる。 また、残存する甲状腺小胞には様々な程度にマクロファージやリンパ系細胞の浸潤があり、小胞の積極的な破壊を伴う。 白色化しつつある個体の尾羽で、barb ridge 及びbarbule cellにおけるメラニン色素の分布異常と色素含有細胞の反応を示し、メラニン色素含有細胞の機能障害とともにそれらの細胞に対する異常な免疫反応が示唆される。 外国において報告されているDAMライン(smith chicken)と同様のミュータント系と思われる。
生理的形質: 血清中のチロキシン濃度(T3値)が低い。
遺伝学的形質: 白色化の形質は遺伝性と思われるが、詳細な遺伝子分析は未検索である。同種免疫抗血清により識別される種々の血液型に関して固定していると思われるが未同定である。しかし、B21に固定していることは判明している。性格に関連するとされているドーパミン受容体D4exon1相同領域において反復回数が9回と長い型(9/9)に固定していた。多型性の高い40マイクロサテライトマーカーの調査結果で、5ローカスが分離、35ローカスが固定している。
利用
白斑および自己免疫性甲状腺炎の疾患モデル
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BM-C 系 (ブラックミノルカ)

由来
米国コネチカット大学より導入(1959年)
特性
コロニー: ブラックミノルカ種の雄 1 、雌 2 を起源とした近交系である。
<交配様式>
羽装: 全身黒色
体重: 成雄:1.7 kg、成雌:1.4 kg
繁殖: 受精率:49.8 %(1回目)、47.2 % (2回目)、ふ化率: 53.2%、育成率(5週齢まで):79.7 %
生理学的形質: 血清中のIgG値:雄 359.6±208.5 mg/dl, 雌 622.4±178.8mg/dl、
遺伝学的形質: 血液型はA2、B15、C4、D2、H2、I3、k、P4にそれぞれ固定している。BシステムのB-G及びB-F領域のRFLP型も固定している。BF2、BLB2はマレック病抵抗系のCornell-N系の塩基配列と同じことが判明している。系統内での皮膚移植が可能である。種々の植物レクチンにより識別される血液型も固定している。白血病関連の標識遺伝子としてはC/AE、chf活性陽性である。血清アイソザイム型について調べられている。2'5'オリゴアデニール酸合成酵素はA/A型に固定している。オルニチントランスカルバミラーゼ遺伝子は長さの短い型に固定している。AFLP法により算出した近交係数(BS値)は92%である。チトクロームb遺伝子が調べられている。 性格に関連するとされているド−パミン受容体D4exon1相同領域において反復回数が8回と短い型(8/8)に固定している。多型性の高い40マイクロサテライトマーカーの調査結果で、4ローカスが分離、36ローカスが固定していた。
抗病性: 鶏痘に対しては非常に感受性が高い。マレック病に対しては抵抗性と思われる。しかし、本系統に生じたマレック病リンパ腫瘍に由来し、腫瘍細胞表面に発現する腫瘍関連抗原(MATSA)陽性の培養腫瘍細胞株BMC-L1株とBMC-L2-25株及びMATSA陰性のBMCL2(C101)などが作出されている。ニワトリ骨髄芽球症ウイルスによる発症率は 71.4%である。Mx遺伝子はインフルエンザ等のウイルスに対して感受性型である。外部寄生虫に感受性。
免疫応答: Mycoplasma gallisepticumに対しては低応答性、ウシ血清アルブミン(BSA)に対しては高応答性である。BSAに対してはショック死率も高い。
利用
種々の免疫学の研究、マレック病の研究
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