NBRP ナショナルバイオリソース ニワトリ・ウズラ

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名古屋大学大学院生命農学研究科附属
鳥類バイオサイエンス研究センター
〒464-8601 名古屋市千種区不老町

ニワトリ ウズラ
野生原種高度近交化系長期閉鎖系閉鎖系
疾患モデル系育成系TGニワトリ
標準系大型系 疾患モデル系
ミュータント系TGウズラ 別種のウズラ
マイクロサテライトマーカー mtDNA多型情報
遺伝的多様性アリル頻度分布図
表現型一覧

表現型一覧

形質名形質名(英名)遺伝子記号原因遺伝子保有系統参考サイト
黒色皮膚FibromelanosisFMEDN3SILhttp://omia.angis.org.au/OMIA001671/9031/
多趾PolydactylyPoSHHSILhttp://omia.angis.org.au/OMIA000810/9031/
毛冠Feather-crested headCr- SIL, PBhttp://omia.angis.org.au/OMIA000240/9031/
綿糸毛Silkie feathering (silkiness)hPDSS2 SILhttp://omia.angis.org.au/OMIA000913/9031/
筋ジストロフィーMuscular dystrophy (Abnormal muscle)AM -413http://omia.angis.org.au/OMIA000679/9031/
矮性Dominant Sex-linked DwarfismZ- GB,PC,CB,JB,PB,EJhttp://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations2.html#gen_mut_dwarf
Recessive Sex-linked Dwarfismrg-GB,PC,CB,JB,PB,EJhttp://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations2.html#gen_mut_dwarf
Autosomal Dwarfismadw- GB,PC,CB,JB,PB,EJhttp://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations2.html#gen_mut_dwarf
Sex-linked Dwarfismdw-GB,PC,CB,JB,PB,EJhttp://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations2.html#gen_mut_dwarf
逆毛FrizzlingFKRT75FZSIL, FZBL http://omia.angis.org.au/OMIA000394/9031/
脚毛feathered feet , shank featheringpti-SIL, CB, BRB -
横斑羽装BarringBCDKN2BCB http://omia.angis.org.au/OMIA000102/9031/
コロンビアンColumbian Co- CB, FZBLhttp://kippenjungle.nl/basisEN.htm
Eローカス変異E locusEMC1R CBhttp://omia.angis.org.au/OMIA000374/9031/
マホガニーMahoganyMh- CBhttp://kippenjungle.nl/basisEN.htm
ダイリューションDiluteDi-CB http://kippenjungle.nl/basisEN.htm
鷹膝Vulture hocksv-SIL, CB, BRBhttp://omia.angis.org.au/OMIA001698/9031/
短指brachydactylyBy-BRB http://omia.angis.org.au/OMIA000146/9031/
短脚Achondroplasia, CreeperCpIHHGSP/Cp, JB http://omia.angis.org.au/OMIA000006/9031/
劣性白色recessive whitec-FZBLhttps://scratchcradle.wordpress.com/2012/10/21/gms-supplement-1-recessive-white/
バラ冠rose combRMNR2 SEBGSPhttp://omia.angis.org.au/OMIA000884/9031/
丸羽(雌性羽) Henny featheringHfCYP19A1SEBGSP http://omia.angis.org.au/OMIA000452/9031/
覆輪lacedE, Pg, Ml, Coなど-SEBGSP http://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations1.html
条斑pencillingPg-SEBGSPhttp://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations1.html
メラノティックmelanoticMl-SEBGSPhttp://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations2.html
褐色Dark Brown, Columbian-like restrictorDb- SEBGSPhttp://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations1.html
尾長long tailGt-SHOGSPhttp://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations2.html
不完全アルビノsex-linked silverS (Sal)-SHOGSPhttp://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations1.html
劣性白色羽装変異mottledmow-SHOGSPhttp://www.edelras.nl/chickengenetics/mutations1.html



黒色皮膚(Fibromelanosis)

 
遺伝様式
変異タイプであるFMアリルは、野生型であるNアリルに対して優性。
遺伝子座記号はFM
分子生物学的背景
ニワトリ20番染色体のおよそ130 kbにおよぶ領域の重複によって引き起こされると考えられている:その領域にはエンドセリン3(EDN3)が含まれる。
この遺伝子の重複により過剰発現した結果、過度の色素沈着(hyperpigmentation)が生じる。
参考文献
Dorshorst B et al. (2010) J Hered. 101:339-350.
Shinomiya A et al. (2011) Genetics. 190:627-38.
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多趾(Polydactyly)

 
遺伝様式
動物で最初にみつかった5つのメンデル遺伝式変異形質の一つ(Bateson 1902)。遺伝子座記号はPo。 ホモ接合個体(Po/Po)とヘテロ接合個体(Po/+)は両足、片足あるいは翼に軸前多趾症を発症する。また発症個体の中には第1指が通常よりも長くなる例も知られている。
分子生物学的背景
これまでの研究から、原因遺伝子はニワトリ2番染色体のSHH(Sonic Hedgehohog)であることが知られている(Warren 1949; Dorshorst et al. 2010; Sun et al. 2014; Zhang et al. 2016)。 遺伝子肺発生時に、後肢のZPA(Zone of Polarizing Activity)におけるSHHSonic Hedgehog)の発現制御の乱れが、多趾を引き起こすと考えられている。 原因変異(SNP)はDorshorst et al. (2010)によって報告されている。
参考文献
Zhang Z et al. (2016) PLoS One. 11:e0149010.
Sun Y et al. (2014) G3 (Bethesda). 4:1167-1172.
Dorshorst B (2010) J Hered. 101:339-350.
Warren DC (1949) Genetics. 34:333-350.
Bateson W & Saunders ER (1902) Reports to the Evolution Committee. 1:125-160.
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毛冠(Feather-crested head)

 
遺伝様式
非常に古い歴史を持つ形質(Brothwell 1979)で3世紀ころのローマ帝国の時代の文献 に記述がみられる。
遺伝子座記号はCr。不完全優性である(Hurst 1905; Davenport 1906)。
分子生物学的背景
ニワトリの連鎖グループLGE22C19W28上のHOXC8の異所的発現が原因とされる(Wang et al. 2012)
参考文献
Wang Y et al. (2012) PLos One. 7:e34012.
Brothwell D (1979) J Archaeol Sci. 6:291-293.
Davenport CB (1906) "Inheritance in poultry". pp 1-136.
Hurst CC (1904) Rep Evol Committee Roy Soc. II: 131-154.
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綿糸毛(Silkie feathering (silkiness))

 
遺伝様式
常染色体の1つの劣性遺伝子によって支配されているといわれる。(Somes 1990)
遺伝子座記号はh
分子生物学的背景
鳥の羽は、中心にある一本羽軸と、羽軸から両サイドに伸びる羽枝から成る。 羽枝からはさらに小羽枝が生え、小羽枝にあるフック状(hooklet)の構造によって「羽」の形が維持されている。 Silky-featherはこのフック状の構造を欠いている。後羽(正羽の裏に生える小さい羽)では、Silkyタイプも野生型もhookletがない。 Dorshorst et al. (2010)とFeng et al. (2014) によって、3番染色体の 70,486,623 bpのSNPがSilky-featherと完全連鎖しており、野生型がC、Silky型がGであることが明らかにされた。そしてこのGタイプの変異によって近傍のPDSS2遺伝子の発現が下がることも明らかにされている。
参考文献
Wang Y et al. (2012) PLos One. 7:e34012.
Dorshorst B (2010) J Hered. 101:339-350.
Somes RG Jr (1990) "Poultry Breeding and Genetics". pp 169-208.
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筋ジストロフィー(Muscular dystrophy)

 
遺伝様式
常染色体の共優性遺伝子によって支配されているといわれる。
遺伝子座記号はAM
分子生物学的背景
退行性の筋収縮であり、筋力低下、骨格筋からのミオグロビンの遊離、そして筋肉の疲労や拘縮(筋肉の持続性収縮)につながる。 Masumoto et al. (2008)によって、原因遺伝子座はニワトリ2番染色体のWWP1遺伝子であることが明らかにされた。 さらに、Imamura et al. (2016)によって WWP1は、4つのタンデムWWドメインを含む922個のアミノ酸からなるHECT型E3ユビキチンタンパク質リガーゼであることが明らかにされた。 WWドメインの中心に位置するアルギニン441がグルタミンに変わる(R441Q)ミスセンス突然変異により、WWP1タンパク質の機能に影響を及ぼす可能性が示唆されている。
参考文献
Imamura M et al. (2016) J Biochem. 159:171-179.
Masumoto H et al. (2008) FEBS Letters. 582:2212-2218,
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矮性(dwarfism)

 
遺伝様式
矮性には、性染色体であるZ染色体に連鎖するタイプ(dw)と常染色体に連鎖するタイプ(adwがある。 Z染色体に位置するものは、優性の"Z"と劣性の"rg"があり、常染色体に位置するものは"adw"と表記されることがある。
分子生物学的背景
dwの原因遺伝子の一つはGHR遺伝子である。矮性ニワトリの一系統である"connecticut"系統においては、Z染色体に位置する成長ホルモン受容体遺伝子(GHR)の1773 bpの欠損が見られ、失った領域には保存性の高い27アミノ酸とストップコドンが含まれることが明らかにされている(Agarwal et al. 1994)。
adwの原因遺伝子としては、マウスでは"pygmy"で知られる、1番染色体のHMGI-Chigh-mobility group protein I-C)と IGF1insulin-like growth factor 1)が候補とされているが(Ruyter-Spir et al. 1998a)、 ノーザンブロット解析によるHMGI-Cの発現量比較の結果では、ドワーフ型と野生型で差が見られず、またcDNA配列においてもHMGI-CとIGF1ともに、ドワーフ型と野生型に分離する変異は発見されていない(Ruyter-Spir et al. 1998b)。
参考文献
Ruyter-Spir et al. (1998a) J Hered. 89: 295-300.
Ruyter-Spir et al. (1998b) Biochim Biophys Acta. 1399:83-87.
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逆毛(Frizzling)

 
遺伝様式
常染色体の1つの不完全優性遺伝子によって支配されているといわれる。(Davenport 1906; Hutt 1930; Landauer and Dunn 1930)
遺伝子座記号はF
分子生物学的背景
逆毛は全身の羽毛をカールさせる突然変異で、αケラチン遺伝子(KRT75) が原因遺伝子の一つとして同定されている(Ng et al. 2011)。 本研究センターで維持しているFZBL系では、逆毛変異の発現を抑制する変更遺伝子(mf) が劣性遺伝形質として分離する。 またFZSIL系は上記の変異がみられず、異なる遺伝子あるいはアリルによって逆毛形質が生じている可能性がある。
参考文献
Ng et al. (2011) PLoS Genet. 8:e1002748.
Landauer W & Dunn LC (1930) J Hered. 21:291-305.
Hutt FB (1930) J Genetics. 22:109-127.
Davenport CB (1906) "Inheritance in poultry". pp 1-136.
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脚毛(Ptilopody, Feathered shankg)

 
遺伝様式
遺伝子座記号はpti。 三つの遺伝子座(Pti-1, Pti-2, Pti-3)によって支配されており、Pti-1とPti-2の優性アリル、ならびにPti-3の劣性アリルによって生じると考えられている(Somes 1990; Hutt 1930; Landauer and Dunn 1930).
分子生物学的背景
Dorshorst et al. (2010)ならびにSun et al. (2015)によって、ニワトリ13番・15番染色体の2か所に原因遺伝子があると特定された。 さらにハトとニワトリの脚毛についてのゲノムワイド関連解析からTボックス遺伝子ファミリーの一つTbx5が有力候補として特定された(Domyan et al. 2016)。 TBX5がニワトリ初期胚の後肢で異所的に発現することで、部分的な翼化を促すことが明らかにされている(Takeuchi et al. 1999)。 綿糸状の羽毛は脚毛と呼ばれ、脚部上方に翼の羽のような平らな羽(平羽)が生えているものは「鷹膝」と呼ばれる。
参考文献
Domyan ET et al. (2016) eLife. 5:e12115. Sun Y et al. (2015) G3 (Bethesda). 5:2037-2041.
Dorshorst B et al. (2010) J Hered. 101:339-350.
Takeuchi JK et al. (1999) Nature. 398:810-814.
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横斑(barring)

 
遺伝様式
遺伝子座記号はB。 性染色体に連鎖するタイプと、常染色体に連鎖するタイプの2つに分けられる(Crawford 1990)。
分子生物学的背景
鳥類の羽装色、横斑(barring)は、家禽では横斑プリマスロック、野鳥では飛翔するタカ類の翼から胸部に見られるような、縞模様の羽装である。 遺伝学的に2つのタイプがある。 1つは性染色体であるZ染色体の遺伝子に支配されるSex-linked barringで、 もう一つは常染色体の遺伝子に支配されるautosomal barringである(Crawford 1990)。
前者の横斑模様は、色素の完全な有無によって形成される白と黒の横斑であり、 一遺伝子座によって支配されていると考えられている。 後者の模様は、明色色素と暗色色素のバランスによる、複雑な横斑となり、 それにはDark brwon(Db)遺伝子や、Pencilling(Pg)遺伝子の複合的な作用によると考えられている。
Sex-linked barringの候補遺伝子はがん抑制遺伝子の一つ、CDKN2A/Bと考えられている(Hellstrm et al. 2010)。 ヒトでは、この遺伝子座は細胞周期のG1期の制御に関わるp16(サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2)とp14ARFをコードしている。CDKN2A領域がINK4aとARFを転写し、CDKN2B領域はINK4bを転写する。 しかし、ニワトリのCDKN2AはARFのみをコードし、INK4aは転写しない。 ニワトリの黄斑模様は、CDKN2A領域の変異により、メラノサイトが早期に細胞死を起こし、再度メラノサイトが形成されるまで色素合成が一時的に停止するために形成されると考えられている。
参考文献
Hellstrm AR et al. (2010) Pigment Cell Melanoma Res. 23:521-530.
Crawford RD. ed. (1990) Poultry breeding and genetics. Elsevier Science; New York.
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(Columbian)

羽装は、全体的な白地と、黒い首周りの蓑毛(hackle)、翼、尾羽からなる羽装である(Dunn 1922)  
遺伝様式
遺伝子座記号はCo。 複数の遺伝子が関わっており、三つの半優性遺伝子と一つの劣性遺伝子によって形成されるとも考えられている (Brumbaugh 1963)。 あるいは「コロンビアン羽装」はEローカス、コロンビアン(Co、性染色体連鎖のシルバー(S)など、複数の遺伝子座の組み合わせでできる羽装、としたほうが正しいかもしれない。
分子生物学的背景
参考文献
Brumbaugh JA. "A study of the genetic control of black-red pigment patterns in the fowl" (1963). Retrospective Theses and Dissertations. Paper 2374.
Dunn LC. (1922) Amer Nat. 56:242-255.
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鷹膝(Vulture hocks)

 
遺伝様式
遺伝子座記号はv。 一遺伝子座の劣性形質(Davenport 1906; Jull & Dunn 1931)、あるいは不完全優性形質(Dorshorst et al 2010)であると考えられている。
分子生物学的背景
指付近の綿糸状の羽毛(白い矢印)を脚毛と呼ぶのに対し、平羽のような羽(黄色い矢印)が特に腿の部分(黄色い丸枠部分)にあるものは鷹膝と呼ぶ。 Dorshorst et al. (2010)によって、ニワトリ13番染色体上に候補遺伝子が位置することが示唆されている。
参考文献
Dorshorst et al. (2010) J Hered. 101:339-350.
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短指(brachydactyly)

 
遺伝様式
遺伝子座記号はBy。 一遺伝子座、それも、おそらく脚毛(ptiと同じ遺伝子によって支配されていると考えられている(Goetinck et al. 1971)。
分子生物学的背景
短指(Brachydactylyあるいはshort digit)は通常よりも短い指が形成される表現型で、ヒトではその形状から10タイプに分類されている(Temtamy & McKusick 1978)、 ニワトリの短指はそのうちの1タイプで、一番外側の第4指が、通常は第2指より10%長いところ、第2指と同等かやや短い形状となる(Crawford 1990、p227)。
参考文献
Crawford RD. ed. (1990) Poultry breeding and genetics. Elsevier Science; New York.
Temtamy SA & McKusick VA. (1978) The Genetics of Hand Malformations. Birth Defects Orig Artic Ser.
Goetinck PF. (1971) J Hered. 62:28-30.
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短脚(Achondroplasia, Creeper)

 
遺伝様式
遺伝子座記号はCp。 常染色体上の単一優性遺伝子によって支配され、半致死である(Jin et al. 2016)。
分子生物学的背景
CP/CPのホモ接合個体は初期胚の過程で致死となる一方、CP/+のヘテロ接合個体は明瞭な軟骨形成異常が観察される(Cutler 1925; Landauer and Dunn 1930; Rudnick and Hamburger 1940)。
Jin et al. (2016)では全ゲノムシークエンスを行い、短脚の個体では7番染色体の21,798,705-21,810,600 bp(11,896 bp)の欠損がみられ、Indian hedgehogIHH)遺伝子が失われていることが明らかにされている。
参考文献
Jin S et al. (2016) Sci Rep. 6:30172. Rudnick D & Hamburger V (1940) Genetics. 25:215-224.
Landauer W & Dunn LC (1930) J Genet. 23:397-413.
Cutler IE (1925) J Hered. 16:353-356.
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