土壌中メタンの透水による心土への移行

 乾田では湛水期間中、土壌水に溶存するメタンが一部浸透水とともに心土へ移行すると推定される。そこで、稲ワラ添加量(0_1.0%)を異にする湛水土壌をカラムに充填し透水実験を行った結果、稲ワラ添加量の増加に伴って透水液中の溶存メタン濃度は増加し、0.6_1.0%稲ワラ添加区では培養18日目にメタンの飽和濃度にまで達した。次いで、透水速度を0.260.521.0 cm/日に調節して透水実験を行ったところ透水速度の違いによる溶存メタン濃度の変化は認められず、透水30日間に下方浸透したメタンの総量は1作期間に稲ワラ分解に伴って生成すると推定されているメタン量のそれぞれ3715に相当した(表5図11参照)。

  1. Kimura, M., Miura, Y., Watanabe, A., Murase, J. and Kuwatsuka, S. : Methane production and its fate in paddy fields. I. Effects of rice straw application and percolation rate on the leaching of methane and other soil components into the subsoil. Soil Sci. Plant Nutr., 38, 665-672 (1992)

水田から発生するメタンの起源、メタンの土壌中での動態にもどる  

2-1. 土壌中メタンの透水による心土への移行 

2-2. 大気への発生量と心土への移行量の関係

2-3. 土壌中のメタン存在量と大気への発生量の関係

2-4. 心土での嫌気的メタン分解 

2-5. 心土におけるメタン分解に関与する微生物の生態

2-6. 地下水利用に伴うメタンの放出

2-7. 作土・心土中での嫌気的メタン酸化の機構推定