作土・心土中での嫌気的メタン酸化の機構推定

 上述した作土や心土中でのメタンの分解が嫌気的な微生物分解であると推察されることより、稲ワラを添加した作土充填カラムに各種の酸化剤(二酸化マンガン、水酸化第二鉄、イオウ粉末、硫酸カルシウム、硫酸第二鉄)を混和した作土や心土を接続して透水実験を行ったところ、イオウ粉末、硫酸カルシウムや硫酸第二鉄を添加した場合にメタンの分解量が多く、二酸化マンガンや水酸化第二鉄添加の効果は認められなかった(図19参照)。以上の結果より嫌気的メタン分解が硫黄化合物の還元と共役して進行しているものと推察された。

  1. Murase, J. and Kimura, M. : Methane Production and Its Fate in Paddy Fields. VII. Electron acceptors responsible for anaerobic methane oxidation. Soil Sci. Plant Nutr., 40, 647-654 (1994)

水田から発生するメタンの起源、メタンの土壌中での動態にもどる  

2-1. 土壌中メタンの透水による心土への移行 

2-2. 大気への発生量と心土への移行量の関係

2-3. 土壌中のメタン存在量と大気への発生量の関係

2-4. 心土での嫌気的メタン分解 

2-5. 心土におけるメタン分解に関与する微生物の生態

2-6. 地下水利用に伴うメタンの放出

2-7. 作土・心土中での嫌気的メタン酸化の機構推定