肝臓特異的に発現する遺伝子の発現調節機構

 肝臓特異的に発現する遺伝子の発現機構(遺伝子のプロモーター解析)は非常に良く研究されており、転写開始点の5'上流域に、遍在性の転写因子の結合部位や肝臓に豊富に存在する肝臓特異的転写因子の結合部位、ホルモンなどの細胞外刺激に応答する領域などが、比較的狭い領域に詰め込まれている。肝臓での発現の特性を決めているのは、肝臓特異的転写因子の結合部位と考えられるが、すべての遺伝子に共通して存在するものはなく、数種類の肝臓特異的転写因子の結合領域が必ずひとつはあるという共通性が見いだされる。

肝細特異的転写因子群

 肝臓特異的遺伝子の発現機構を考えるとき、肝臓にのみ存在する転写因子を想定すると考えやすい。肝臓に特異的に存在する転写因子を求めていくつかの転写因子がクローニングされたが、現在のところ肝臓にのみ存在する肝臓特異的な転写因子は見つかっていない。クローニングされた転写因子は肝臓で多くの発現が見られるが、肝臓以外でも発現が見られることより、正確には肝臓で豊富に存在する因子 (liver-enriched transcription factor)であるが、ここでは便宜的に日本語では肝臓特異的転写因子と呼ぶ。肝臓特異的に発現する遺伝子の制御領域には、そのほとんどに肝臓特異的転写因子の結合部位がみられる。


Updated 9/23/99