HNF-1



 Hepatocyte Nuclear Factor 1 (HNF-1)は、ホメオドメインを持ったのタンパク質であり、HNF-1aとHNF-1b (vHNF-1)の2種類の異なった遺伝子にコードされているアイソフォームが知られている。さらにオルタナティブスプライシングによる数種のアイソフォームが、それぞれに存在する。最近になり、若年性成人発症型糖尿病(MODY, maturity-onset diabetes of the young)の原因遺伝子としても同定され注目を集めている(HNF-1a: MODY3, HNF-1b: MODY5)。DCoH (dimerization dofactor of HNF-1)と呼ばれるコファクターが、HNF-1のホモダイマーならびにヘテロダイマーに結合して2量体化を安定させ転写活性を増強することが知られている。

 HNF-1a遺伝子の発現は、HNF-3やHNF-4により正の制御を受け、HNF-1a自身によって負の制御を受ける。HNF-1a自身によるHNF-1a遺伝子の転写の抑制は、HNF-4aとHNF-1aのタンパク質相互作用によるものである。発生におけるHNF-1aの発現は、マウス胎生10.5日の肝臓原基や卵黄嚢に見られる。HNF-1aを欠損させたノックアウトマウスでは、肝機能不全、フェニルケトン尿症、ファンコニ症候群を示した16)。さらに、膵臓においてインスリン分泌不全が見られる。

 マウスの発生におけるHNF-1bの発現は、HNF-1aより早い胎生6日から7.5日に近位内胚葉で見られ、胎生8.5日の前腸で見られ、続いて肝臓原基で発現が見られる18,19)。HNF-1bノックアウトマウスは発生初期に致死である。


Updated 9/26/99