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Ⅱ. 木材利用の事例研究

1. 院生居室の木質化

キャンパス内木質化の試みとして院生居室の木質化を試みた。
当PRJメンバーの実務家の方々の指導・補助のもと、作業は実務家3名、教員2名、学生8名で行い、施工時間は荷物の搬出入を含めて4日間であった。
その結果、以前は無機質で雑多だった空間が、木のぬくもりを感じる優しい空間に変貌し、「落ち着く空間になった」、「室内を裸足でいられることが良い」ということを実感しているようである。施工にあたった者たちは、木工作業の経験が必ずしも豊富というわけではなく、慣れない作業に苦戦しつつも、居室の木質化を完成させた。

例えばネジの打ち損じなどのミスが散見されるが、居住者にとってはDIYの成果でもあり、不満はないようである。施工作業を体験することで、プロセスと仕上がりにある程度の満足感を得、愛着が湧いてくるようである。居住者である院生・学部生は定期的な掃除を欠かすことなく部屋を使用している。自分達で苦労して作った空間だからこそ、なお一層きれいな状態を保ち続けたいという意識が伺える。

2. 都市の木質化プラン

都市木PRJでは、都市空間における室内外の木質化プランを幾つか提案している。
例えば、木造古建築や都心のリノベーションであったり、ヨーロッパの旧都を範とする緑の空中回廊であったりと様々であるが、都市部でにおける木材利用の可能性について、常にアイディア出しを試みている。

3. 名古屋大学キャンパスの木質化

都市木PRJで検討し、提案した幾つかの用途案の中から以下の4つを選び、実現を図る上で木材を利用する際の問題点の抽出、解決策の検討およびこれらの共有化を図ろうとした。
①既存木造住宅のリニューアル・コンバージョン
②名古屋大学構内および住宅街におけるエクステリア利用(写真1)
③名古屋大学ES総合館横の屋根付き駐輪場(写真2)
④名古屋大学ES総合館のフローリング(写真3)

駐輪施設は写真のものが12基並べられ、フローリング材は建築家の卵(将来の木材利用者)である都市環境学専攻の院生室320平米に敷かれている。これらの学内設置については、新館(ES総合館)完成間近というタイミングでの計画変更であったこともあり関係者の尽力と理解によって実現したものである。幸いにして現在のところ、これら施設利用者の反応も良好であり、木材が受容される可能性・手応えを感じている。また、駐輪施設については各方面の関心が高く、公共施設等への採用、および太陽光パネルとの組み合わせなどが検討(既に実現)されており、今後の展開を期待している。その他に、庁舎等外壁のルーバー設置案など『都市の木質化』実現に向けたプラン作りに取組んでいる。 以上の4項目にわたる事例研究では、敷設後の追跡調査も重要であり、維持管理の問題や利用者の嗜好性など多岐に亘る項目について研究を進めている。

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