樹木が大気中の二酸化炭素を体内に固定し,副産物として酸素を産出する光合成活動は地球上の生態系の根幹を成すものです.かつて,人類はこの光合成活動によって育成された木材を利用することで,環境と共生しながら社会基盤を構築してきました.現在,我々の社会基盤は鉄,コンクリートなど様々な人工材料によって高機能性を獲得しましたが,反面多大なエネルギーの排出源となりました.地球環境システムの急激な崩壊に対する警鐘が強く打ち鳴らされる中,社会基盤の構築においてはもう一度木材を見直し,現代の社会基盤が要求する機能性の付与,育成環境である国土の保全など生産 ⇒ 利用 ⇒ 廃棄に至る循環過程を総合的に科学することが求められています.
このようなことから,循環型社会の構築に向けた木質バイオマスによる環境設計を通じて環境の質的向上に貢献することを目標として,細胞構造体としての木材の力学・物性解析,木材・木質材料および木質構造の力学特性,木質バイオマスの循環利用システムの構築などに関する研究に取り組んでいます.
I.木材の力学物性の解明
II.木質構造要素の性能
III.快適居住空間の創成
IV.木質資源の循環利用
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