稲ワラ施用に伴ないメタン発生量の増加することは周知の事実であるが、各土壌において稲ワラ施用量の増加に伴って各生育時期までにどれだけ増加するかは明らかでない(図7)。そこで、安城土壌を用いて稲ワラ施用量を異にする土壌(0〜0.8%稲ワラ施用)をポットに詰めて水稲を栽培し、メタンの発生量を詳細に検討して結果、稲ワラ施用に伴うメタンの発生増加量(y)はy=k[a/(1+be-cx)](k, a, b, c:定数、x:稲ワラ施用量)で定式化された(図8)。定数中、kは土壌に固有の値(安城土壌k=1)であり、a, b, cは有効積算温度の関数であることが判明した。従って、各土壌に固有のk値を明らかにしておけば(例えば弥富土壌はk=1.39)、上式より年度、土壌、稲ワラ施用量に関わらず稲ワラ施用に伴って各生育時期までに発生するメタン量の推定が可能と判断された(図9)。



- Watanabe, A., Satoh, Y. and Kimura, M. : Estimation of the increase in CH4 emission from paddy soils by rice straw application. Plant Soil, 173, 225-231 (1995)
水田から発生するメタンの起源、メタンの土壌中での動態にもどる
1-1. 土壌有機物の寄与率
1-2. 根分泌物の寄与率
1-3. 施用有機物(稲ワラ)の寄与率
1-4. 発生したメタンへの稲ワラ各成分の寄与率の推定
1-5. 土壌有機物、根分泌物、施用有機物(稲ワラ)の各寄与率