名古屋大学大学院生命農学研究科附属鳥類バイオサイエンス研究センター
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鳥類バイオサイエンス研究センター 維持系統


ウズラ長期閉鎖系
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LWC 系

由来
日生研より導入(2010年)

特性
 コロニー  
RW系をWE系へ6世代戻し交配することにより、翼の挙上不能を主徴とする筋緊張性ジストロフィー症のみを発症する系統として確立された。クローズドコロ ニーとして維持。
 羽装  野生型装で白卵を産卵。
 体重  成雄:142.8 g、 成雌:154.5 g
 繁殖    
受精率: 81.6 %、ふ化率: 65.9 %、育成率(3 週齢まで): 66.7 %
 遺伝学的形質
筋緊張性ジストロフィー症は常染色体性の優性遺伝子により支配されており、ホモ致死と考えられ、ホモ個体はふ化直前に死亡する。すべての個体が6週齢頃に 発症する。同種免疫抗血清により識別されるLyシステムは3型に固定している。胸骨異常個体が少数出現する。
 組織学的検索
胸筋では筋線維の大小不同、中心核の増加、sacroplastic mass、ring fiber、fiber splittingが散在あるいは密に存在する。なお、筋の形態異常は主に浅胸筋の表層部にみられる。

利用
筋緊張性ジストロフィー症のモデル動物としての利用







RWN 系

由来
日生研より導入(2010年)

特性
 コロニー  
1976年PNN系に出現した1羽の雄の糖原病II型ウズラとPWE(パンダ羽装で白卵)系の正常雌1羽を起源として確立した糖原病II型を発症するク ローズドコロニー。
 羽装  野生型装で有色卵を産卵。
 体重  成雄:104.8 g、 成雌:139.1 g
 繁殖    
受精率: 64.9 %、ふ化率: 63.3 %、育成率(3 週齢まで): 71.1 %
 生理学的形質
主な症状は翼の挙上不能のみで、3週齢においてすでに肝臓、心臓、筋肉などにグリコーゲンの沈着がみられる。翼の挙上不能を3 週齢で発症する。ヒトの糖原病II型と同様にリソゾーム内の酸性マルターゼの活性が低いことまたは欠損していることが確認されており、このため筋肉を含む 全身の臓器にグリコーゲンが蓄積する。
 遺伝学的形質
常染色体性の劣性遺伝子により支配されている。早期(4週齢時)に発症するには1種の変更遺伝子の関与が考えられており、この変更遺伝子がホモになると胎 児はふ化直前に死亡する。

利用
ニワトリとのキメラ動物における糖原病II型の治療研究、糖原病II型遺伝子のクローニング、糖原病II型の遺伝子治療、ヒトリコンビナント酸性マルター ゼにより治療可能。







QUV 系

由来
日生研より導入(2010年)

特性
 コロニー  
WE系で見いだされた、ふ化時から全身の振戦を主徴とし、神経のニューロフィラメントが欠損しているミュータント系。クローズドコロニーとして維持。
 羽装  野生型装で白卵を産卵。
 体重  成雄:116.6 g、 成雌:139.8 g
 繁殖    
受精率: 62.2 %、ふ化率: 78.6 %、育成率(3 週齢まで): 69.1 %
 遺伝学的形質
ニューロフィラメント欠損形質は常染色体性の劣性遺伝子により支配されており、NF-L遺伝子のnon-sense mutationによることが判明している。同種免疫抗血清により識別されるLyシステムは3型に固定している。
 組織学的検索
脳の視交叉や視神経および脊髄白質や末梢神経は矮小化しており、脊髄神経線維の軸索を電顕的に観察すると正常では軸索形質に数多く存在するニューロフィラ メント構造が全く認められない。ニューロフィラメントを構成するNF-H、NF-M及びNF-Lの各サブユニットのすべてが著しく減少し、とくにNF-L は欠損していると思われる。聴性脳幹反応において異常がみられ、神経性難聴の動物モデルとなりうる。
 生理学的形質
脳の新線条体におけるノルエピネフリンとセロトニン含量および旧線条体と視床におけるセロトニン含量が正常ウズラに比べ有意に増加。

利用
ニューロフィラメントの機能研究的モデル動物、薬剤の神経組織に対する薬理作用機序の解明、神経性難聴のモデル







AMRP 系

由来
日生研より導入(2010年)

特性
 コロニー  
ddマウス赤血球に対する自然凝集素を有する雄 4、雌 8を起源として選抜され、1974年よりクローズドコロニーで維持されている高度近交化系統。
 羽装  パンダ羽装(野生色と白色のブチ)で有色卵を産卵。初生雛はニワトリの雛のように全身黄色。
 体重  成雄:108.2 g、 成雌:134.5 g
 繁殖
受精率: 36.2 %、ふ化率: 61.5 %、育成率(3 週齢まで): 60.0 %
 遺伝学的形質
パンダ羽装の原因遺伝子は、endothelin receptor B2 (EDNRB2)であることが判明している。ダイズレクチンと 反応する赤血球凝集原Sbは産卵時出現する。クリタケレクチンと反応する赤血球凝集原Nsは産卵時出現する。同種免疫抗血清により識別されるLyシステム (赤血球、白血球両方に存在する抗原)は3型に固定している。血清中のエステラーゼD型はaa型に固定している。
 抗病性
ニワトリ赤芽球症ウイルスによる腫瘍の発生率は 35%である。
 免疫応答
6種類のウシタンパク質(IgG、BSA、αS1-CN、β-Lg、α-La、及びインシュリン)に対する免疫応答性において、とくにIgGに対しては高 応答性を示したが、インシュリンに対してはほとんど無応答。

利用
ウズラの始原生殖細胞を用いたキメラ作製実験







rb(TKP)系

由来
日生研より導入(2010年)

特性
 コロニー  
1983年に日生研がタケダ薬品工業(中央研究所、生薬研究所)より導入した劣性黒色羽装で有色卵を産卵する高度近交化系統である。
 羽装  野生型羽装であったが、現在は劣性黒色(rb)に固定。
 体重  成雄:114.3 g、 成雌:138.9 g
 繁殖
受精率: 71.2 %、ふ化率: 70.2 %、育成率(3 週齢まで): 46.6 %
 遺伝学的形質
劣性黒色羽装は agouti signaling protein(ASIP)遺伝子の変異である。ダイズレクチンにより識別されるSb凝集原は産卵雌では消失する。クリタケレクチンにより識別されるNs 凝集原は産卵雌において出現する。同種免疫抗血清により識別されるLyシステムは3型に固定している。血清中のエステラーゼD型はbb型に固定している。
 免疫応答
6種類のウシタンパク質(IgG、BSA、αS1-CN、β-Lg、α-La、及びインシュリン)に対する免疫応答性が調べられている。







WE 系

由来
日生研において1971年に確立された系統を2012年に導入

特性
 コロニー  
1966年よりクローズドコロニーとして維持してきたウズラ集団に突然変異で出現した白色卵殻卵(白卵)を産卵する形質に関して固定したクローズドコロ ニーである。
 羽装  野生型羽装
 体重  成雄:134.0 g、 成雌:159.9 g
 繁殖
産卵率: 70.6 %、受精率: 80.7 %、ふ化率: 86.4 %、育成率(3 週齢まで): 87.7 %
 遺伝学的形質
血清、血球および種々の臓器中の種々のアイソザイム型が調べられている。白卵形質とパンダ羽装との間にはリンケージ関係は見られない。各種PHAに対する 赤血球凝集性が調べられている。
 生理学的形質
成長時における窒素、Ca、Mg、Pの体内蓄積が調べられている。6週齢時の各種臓器重量、消化管の長さ、血液性状及び消化管内細菌叢等について調べられ ている。26週齢時の血液学検査値及び血液生化学値が調べられている。
 抗病性
ニワトリ赤芽球症ウイルスに対して抵抗性である。ラウス肉腫ウイルスのsubgroup Aに対して感受性であるが、腫瘍の成長には抵抗性である。

利用
マレック病ワクチンの製造、農薬等種々の薬品の毒性検定、OECD及び米国EPA鳥類毒性試験法に用いられている。NO2急性暴露に対する平均生存時間の 検索、種々の研究用実験動物としての利用、体外培養実験、キメラおよび遺伝子導入実験に用いられている。ニワトリとウズラのハイブリッド作製実験に用いら れる。無菌ウズラの栄養に関する研究に使用。







AWE 系

由来
カリフォルニア大学より導入した性染色体性の劣性遺伝子により支配されている不完全アルビノ(背側にゴースト羽装が出現)で白卵を産卵する個体から日生研 において1975年に確立された。2012年に本センターへ導入

特性
 コロニー  
雄 12、雌 24-36のクローズドコロニーである。
 羽装  アルビノであるため全身白色であるが、背側にうすく着色した羽(ゴースト)が出現する。
 体重  成雄:124.5 g、 成雌:145.8 g
 繁殖
受精率: 80.7 %、ふ化率: 92.0 %、育成率(3 週齢まで): 65.9 %
 遺伝学的形質
アルビノ羽装はシナモン羽装と複対立関係にあり、アルビノ羽装が劣性である。初生雛において羽装により雌雄鑑別が可能である。ブラウン羽装(性染色体性劣 性遺伝)とアルビノ羽装間の組み替え率はブラウンを雄とした場合約30%である。
 その他
1992年にWE系へ戻し交配が行われている。加齢に伴い眼球、角膜、水晶体に異常が出現する。メラノサイトの研究に用いられている。





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