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                                   Laboratory of Animal Genetics and Breeding
加齢に伴い生理的機能が増進する遺伝子の同定

 インドネシア産野生マウスから発見した新規自然発症毛色突然変異遺伝子Oca2p-casをB6系統に導入し、コンジェニック系統として系統維持している過程で、加齢により眼と毛の色が濃くなる新奇自然発症突然変異個体を発見した(Ishikawa et al., 2015, Exp. Anim. 64: 207)。 通常、Oca2p-casホモ型マウスの表現型はピンク色眼と薄い灰色毛を呈し、この特徴は生涯変化しない。 今までに得られた研究成果に基づくと、体毛、皮膚表皮と脈絡膜においてメラニン色素沈着量が増加する、新生仔の表皮細胞をチロシン添加して初代培養するとメラノサイトの増殖・分化が促進され、メラニン色素合成関連遺伝子の発現が上昇することが明らかとなった(Hirobe and Ishikawa, 2015, J. Dermatol. Sci., 80: 203)(図6)。 近年、次世代シークエンサーによるトランスクリプトーム解析、メチローム解析と全ゲノム解析を行った。 現在、QTL解析を行っており、その途中結果に基づくと、この新奇突然変異形質は比較的少数の主働遺伝子座によって支配されていることが示唆された。 今後、これらの主働遺伝子のQTGsを同定し、メラニン色素合成がスィッチ・オンする遺伝的メカニズムの解明を目指す。 ヒトの白髪、多くの遺伝病や老化は主として遺伝子がスイッチ・オフすることにより生じるものと考えられる。 もし、この新奇突然変異の原因遺伝子が同定されると、長寿または不老不死の動物が作出できるかもしれない。

さらに、名古屋大学の研究シーズ集uniteの以下のwebサイトを参照のこと:
「加齢によりメラニン色素合成がスイッチ・オンする新奇遺伝子の探索」
http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/unite/jp/detail/0000280.html