年を重ねるにつれ、私たちの体には変化が生じる。病気にかかりやすくなるだけでなく、皺は増え、足腰が弱り、加齢臭を放つようになる。こうした生命現象の多くに酸素による「酸化」が関与している。私たち人間は酸素を使って生きていく限り、生体機能修飾を伴う酸化を避けることはできない。一方、この酸化を完全に克服することは無理であっても制御することは可能である。その最も有効な手段は、酸化に対する「還元」による制御である。動物や細胞レベルでは、レドックス(酸化還元)バランスを保つことにより、様々な外界刺激に対する防御が可能になることが実証されている。従って、レドックス制御は健康の維持や増進、長寿への最も重要なアプローチの一つであると言える。
こうした背景から、健康増進や治療を目的としてレドックス制御活性を持つ化合物を追い求めるのは自然の流れである。しかし、多くの化合物については、明確な科学的根拠のないまま実用化されてきており、この方面の研究への懐疑へとつながっている。こうした現状を少しでも改善し、より信頼性のある製品開発につながる社会貢献のためには、産官学研究者が領域横断的に会し、意見交換、技術情報交換、共同研究開発などを行うことが不可欠であろう。
本委員会は、学会とは一線を画し、産官学におけるレドックス制御に関連した健康科学(創薬、機能性食品、化粧品など)に関する「技術情報交換」および「実用化」への支援などを主目的として平成12年1月に設立された(委員長:二木鋭雄東京大学名誉教授)。その後、平成18年には谷口直之(大阪大学教授)が委員長に、そして平成22年4月より内田浩二(東京大学教授)が委員長に就任し、現在に至っている。新しく発足した委員会では、本委員会の主目的である産学連携をさらに明確にするため、企業委員の大幅な増員や委員会名称の変更など、運営方針を大幅に変更し、実用化及び応用研究を基盤とした委員会に向けた改革を進めている。
委員長: | 内田 浩二 | 東京大学 大学院農学生命科学研究科 |
アドバイザー: | 谷口 直之 | 国立研究開発法人 理化学研究所 |
二木 鋭雄 | 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 | |
末松 誠 | 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 | |
山本 雅之 | 東北大学 大学院医学系研究科 | |
吉川 敏一 | 京都府立医科大学 | |
運営委員: | 相澤 宏一 | カゴメ株式会社 研究開発本部 |
赤池 孝章 | 東北大学 大学院医学系研究科 | |
市橋 正光 | 同志社大学 | |
岩橋 大悟 | 味の素株式会社 イノベーション研究所 | |
内田 哲雄 | コスモ・バイオ株式会社 開発部 | |
浦野 泰照 | 東京大学 大学院薬学系研究科 | |
大内 雄也 | 株式会社 同仁化学研究所 | |
北野 茂 | 日油株式会社 ライフサイエンス事業部 | |
熊谷 嘉人 | 筑波大学 大学院人間総合科学研究科医学系専攻 | |
高浪 雄一郎 | 日本たばこ産業株式会社 | |
高橋 和彦 | 北海道薬科大学 | |
塚田 裕 | 株式会社 エスアールエル 八王子ラボラトリー | |
寺尾 純二 | 甲南女子大学 看護リハビリテーション学部 | |
豊國 伸哉 | 名古屋大学 大学院医学系研究科 | |
内藤 裕二 | 京都府立医科大学 | |
中村 圭伸 | 物産フードサイエンス株式会社 | |
二井 康夫 | 杏林製薬株式会社 ヘルスケア事業部 | |
野口 範子 | 同志社大学 生命医科学部 | |
村越 倫明 | ライオン株式会社 研究本部 | |
吉田 康一 | 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 | |
委員: | 有田 誠 | 慶應義塾大学 薬学部/ 理化学研究所 |
有本 博一 | 東北大学 大学院生命科学研究科 | |
安藤 秀哉 | 岡山理科大学 工学部 | |
板部 洋之 | 昭和大学 薬学部 | |
伊東 健 | 弘前大学 医学部附属高度先進医学研究センター | |
井上 裕康 | 奈良女子大学 生活環境学部 | |
居原 秀 | 大阪府立大学 大学院理学系研究科 | |
今井 浩孝 | 北里大学 薬学部 | |
上原 孝 | 岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 | |
上原 万里子 | 東京農業大学 | |
朽津 和幸 | 東京理科大学 理工学部 | |
斎藤 芳郎 | 同志社大学生命医科学部 | |
阪井 康能 | 京都大学 大学院農学研究科 | |
榊原 陽一 | 宮崎大学 大学院農学研究科 | |
佐藤 隆一郎 | 東京大学 大学院農学生命科学研究科 | |
澤 智裕 | 熊本大学 大学院生命科学研究部 | |
鈴木 敬一郎 | 兵庫医科大学 生化学講座 | |
住本 英樹 | 九州大学 大学院医学研究院 | |
高木 博史 | 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 | |
竹中 麻子 | 明治大学 農学部 | |
立花 宏文 | 九州大学 大学院農学研究院 | |
戸塚 ゆ加里 | 独立行政法人 国立がん研究センター研究所 | |
中川 秀彦 | 名古屋市立大学 大学院薬学研究科 | |
中別府 雄作 | 九州大学 生体防御医学研究所 | |
永井 竜児 | 東海大学 農学部 | |
西田 基宏 | 自然科学研究機構岡崎統合バイオサイエンスセンター(生理学研究所) | |
藤井 順逸 | 山形大学 大学院医学系研究科 | |
藤原 範子 | 兵庫医科大学 | |
増谷 弘 | 天理医療大学 医療学部 | |
松田 知成 | 京都大学 大学院工学系研究科 | |
本橋 ほづみ | 東北大学 大学院医学系研究科 | |
森 泰生 | 京都大学 大学院工学研究科 | |
森光 康次郎 | お茶の水女子大学 生活科学部 | |
山田 健一 | 九州大学大学院薬学研究院 |
味の素株式会社 | |
株式会社 エスアールエル | |
カゴメ株式会社 | |
杏林製薬株式会社 | |
コスモ・バイオ株式会社 | |
株式会社 同仁化学研究所 | |
日油株式会社 | |
日本たばこ産業株式会社 | |
物産フードサイエンス株式会社 | |
ライオン株式会社 |
(1)研究報告会
創薬、機能性食品、化粧品など、各方面における最新の状況について、
委員による公開あるいは非公開による研究報告会を開催する。
研究報告会の企画、運営には運営委員が携わる。
第14回レドックス・ライフイノベーションシンポジウム
日時:平成29年 10月 26日(木)~27日(金)
場所:東北大学医学部 星稜オーディトリアム(医学部開設百周年記念ホール)
(宮城県仙台市青葉区)
(2)共同研究の推進
委員同士の共同研究を推進する。
委員のもつ技術情報を共有できるようにし、共同研究をサポートする。
(3)レドックスシンポジウムの開催
産官学における一流の研究者を招き、公開シンポジウムを開催する。