稲武フィールド林地は南北約 3 ㎞、東西約 1 ㎞の広がりを持ち、海抜高は920 m~1,230 mです。矢作川水系に属する根羽川支流の野入川源流部にあたり、中南部の月ヶ平とアララギ峠地区は傾斜が急であるのに対して、北部の高トッケ地区の傾斜は緩やかで、かなりの平坦地を含む準平原地形となっています。林地全体が標高1,000 m付近の源流域にある急傾斜地の演習林は全国的にみても少なく、大きな特色となっています。
標高が高いために気温は低く、林地(月ヶ平地区、標高940 m)の年平均気温は約9.4 ℃、冬季の最低気温は-15 ℃を下回ることもしばしばです。年降水量は、事務所のある稲武町(標高520 m)では約2,000 ㎜ですが、林地ではこれよりやや多い2,100 ㎜程度となっています。降雪量は比較的少なく、とくに温暖化傾向にある昨今では、積雪が30 ㎝を超えることはほとんどありません。
地質は、基岩の大部分は先新生代の角閃雲母花崗岩からなっています。また、南東隅の最高標高地点では、第三紀の輝石安山岩が露出しています。月ヶ平とアララギ峠両地区の土壌型は、ほとんどがBD型あるいはBD(d)型で、沢筋にBE型、その一部に若干のG型が見られ、南東隅の第三紀輝石安山岩の地域にはBL型土壌が局在しています。これに対して、高トッケ地区にはG型の分布が多く、尾根部には若干のBC型が見られます。月ヶ平とアララギ峠両地区に比べると、地勢・地質・土壌の影響のためか、高トッケ地区は土壌層が薄く、また冬期の低温も著しいため、地位はやや劣ります。
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