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沿革

 稲武フィールドは、名古屋大学に農学部が創設された昭和26(1951)年から4年後の、昭和30(1955)年に「名古屋大学農学部附属稲武演習林」として発足しました。その後、「名古屋大学大学院生命農学研究科附属フィールド科学教育研究センター」に再編され、現在に至っています。

位置

 稲武フィールドは、愛知県豊田市の稲武町(月ヶ平)、野入町(高トッケ、蘭(アララギ)峠)にあり、東は長野県下伊那郡根羽村に接しています。また、事務所兼研究実験棟は、林地の西方約10kmの稲武町市街地の近傍にあります。豊田市稲武町は、国道153号線と257号線の交差する交通の要衝にあたり、名古屋市(東山キャンパス)からは約60 km、豊田市市街地からは約40 kmの距離にあります。林地の面積は201.41 ha(台帳面積 1,438,709 u)であり、そのうち立木地は181.35 ha、除地は20.06 haです。

東山_稲武
事務所_林地
地況

 稲武フィールド林地は南北約 3 q、東西約 1 qの広がりを持ち、海抜高は920 m〜1,230 mです。矢作川水系に属する根羽川支流の野入川源流部にあたり、中南部の月ヶ平とアララギ峠地区は傾斜が急であるのに対して、北部の高トッケ地区の傾斜は緩やかで、かなりの平坦地を含む準平原地形となっています。林地全体が標高1,000 m付近の源流域にある急傾斜地の演習林は全国的にみても少なく、大きな特色となっています。

 標高が高いために気温は低く、林地(月ヶ平地区、標高940 m)の年平均気温は約9.4 ℃、冬季の最低気温は−15 ℃を下回ることもしばしばです。年降水量は、事務所のある稲武町(標高520 m)では約2,000 oですが、林地ではこれよりやや多い2,100 o程度となっています。降雪量は比較的少なく、とくに温暖化傾向にある昨今では、積雪が30 pを超えることはほとんどありません。

 地質は、基岩の大部分は先新生代の角閃雲母花崗岩からなっています。また、南東隅の最高標高地点では、第三紀の輝石安山岩が露出しています。月ヶ平とアララギ峠両地区の土壌型は、ほとんどがBD型あるいはBD(d)型で、沢筋にBE型、その一部に若干のG型が見られ、南東隅の第三紀輝石安山岩の地域にはBL型土壌が局在しています。これに対して、高トッケ地区にはG型の分布が多く、尾根部には若干のBC型が見られます。月ヶ平とアララギ峠両地区に比べると、地勢・地質・土壌の影響のためか、高トッケ地区は土壌層が薄く、また冬期の低温も著しいため、地位はやや劣ります。

地形図
林況

 稲武フィールド林地の森林帯上の位置は、隣接し自然植生の残る井山区有林の状況や、暖かさの指数・寒さの指数から類推すると、ブナ、カエデ属、シデ属およびミズナラを主とする温帯中部の落葉広葉樹林であるといえます。以上の他に、イヌブナ、センノキ、ミズメなどの広葉樹高木に、モミ、ツガ、サワラなどの針葉樹高木が自生しています。また、かつて薪炭林として利用されていた林地に残存する亜高木には、アブラチャン、タンナサワフタギ、シロモジなどが多く見られます。

 この林地が演習林となる以前には、沢沿いやその他の肥沃地だけを選んでスギの造林が行われ、他の大部分は薪炭林として取り扱われてきたようです。演習林となってからは、主としてスギ、ヒノキ、カラマツなどの針葉樹による林種転換が行われ、およそ30年の年月を経て、立木地面積(181.35 ha)の90%が人工林化され、天然生林は尾根沿いなどに若干残るのみとなっています。なお、樹種別の造林面積は、スギ、ヒノキ、カラマツがそれぞれ25%、30%、35%となっています(植栽図を参照)。

 多大な努力を払って行われた林種転換でしたが、地位が低い箇所では成林に十分な成育が得られず、またネズミ、ウサギなどによる獣害や寒風害もあり、高トッケのカラマツを中心に多くの造林不成績地が生じました。このため、造林面積では35%を占めたカラマツも、現在の林地面積では15%ほどしかありません。逆に、造林完了時は3%程度だった広葉樹等の林地面積は、現在27%にまで増加しています(植生図を参照)。

 なお、造林不成績地においては、天然の優良広葉樹の導入や、カラマツ樹下へのヒノキの植栽が試みられ、これも場所によって成功したり、失敗したりしたようです。その結果、現在の高トッケ地区は、針葉樹人工林が針広混交林に移行する過程の様々なフェーズが見られる、非常に変化に富んだ林相となっています。

植栽図
*1984年(昭和59年)作成
植生図
*2018年(平成30年)作成

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