植物遺伝育種学研究分野

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研究内容

温暖化をはじめとする地球規模の気候変動は、気温の上昇、降水強度および降水量の変化をもたらすと予測されており、農業生態系に対する深刻な影響が危惧されています。これらの変化は人口増加と相まって大規模な食糧不足を引き起こす可能性が高く、この問題を解決するために農学各分野における研究の果たすべき役割は大きいと言えます。特に、降水量の変化は干害や冠水害・湿害をもたらすため、作物生産において非常に大きな制限要素になると予想されます。

東南アジア・南アジアにおいては、雨季にイネなどの作物が冠水することによる収量低下が深刻な問題となっており、作物への冠水抵抗性の付与が重要な育種目標となっています。また、わが国においては、減反政策によって水田を畑へ転用することが推奨されていますが、本来水田として利用していた土壌は保水性が高いため、転換作物として栽培の拡大が見込まれるダイズ、トウモロコシ、コムギ、オオムギなどの発芽・生育阻害がしばしば問題になります(図1)。イネなどの一部の例外を除く世界の主要作物のほとんどが、土壌が過湿状態になると根が酸素不足になり生育不良を起こし、最終的には収量の低下を来たします。これらの作物に耐湿性・冠水抵抗性を付与するためには、まず植物の嫌気ストレスに対する応答機構について理解を深める必要があると考えています。

そのために、私たちは、イネが湛水条件(水田)で普通に生育でき、他の畑作物と比べ非常に高い耐湿性をもつ理由について解明していきたいと考えています。さらに、トウモロコシやコムギ、ダイズなどの耐湿性の低い畑作物の耐湿性獲得機構の解明も進めています。特に、トウモロコシの研究では、トウモロコシの近縁種であるニカラグアテオシントを利用した研究を行っています。ニカラグアテオシントはニカラグアに自生する種で頻繁に洪水が起こる地域で生育しているため、トウモロコシやその亜種と比較して高い耐湿性を有していることが知られています。私たちの研究室ではこのニカラグアテオシントがトウモロコシと比べ非常に高い耐湿性をもつ理由の解明を試みています。これらの研究によって得られる知見は、作物の耐湿性向上を考える際の一助になると期待されます。

そこで、現在、以下のようなテーマで研究を進めています。

(1) イネ科植物の根の通気組織形成機構の解明

(2) イネの根からの酸素漏出を防ぐバリア(ROLバリア)の形成機構の解明

(3) ダイズの二次通気組織の形成機構の解明

(4) トマトにおける木部組織の発達機構の解明

(5) イネの鉄過剰耐性機構の解明

以下のサイトでも、簡単な研究紹介をしています。


佐藤先生は2016年4月に国立遺伝学研究所の教授として異動されました。研究内容はこちら

犬飼先生は2013年4月に名古屋大学農学国際教育協力研究センターの准教授として異動されました。

研究内容はこちら