稲武以外の調査地

研究の内容によっては、稲武演習林では調査に 不十分な場合があります。


たとえば、ある限定された地域にしか生息しない生物の調査が行いたい場合、 また、ある害虫の被害が全国的にどのあたりで発生しているのかを知りたい場合、 それから、ある外来の害虫がどこからどのように広がりどう遺伝的に変化してきたのかなどの歴史を知りたい場合、 研究者は必要とする場所から多くの生物のサンプルを手に入れなければなりません。 また、その生物を取り巻く環境条件などを知るために、その場所について詳細にわたって調べる必要があります。


このような研究を行うメンバーは、それぞれに工夫して、もっとも効率のよい方法を工夫して取り組んでいます。


たとえば現在、暖かい地域によく生育するシキミという植物につくタマバエの研究をしている学生は、 三重県の調査地まで自分の車で足繁く通ってサンプルの採集を行っています。


全国のキクイムシの遺伝的変異を調査しているある学生は、各地の研究機関に協力を要請し、 送付した自作のトラップを仕掛けてもらって、捕らえた昆虫を大学に送っていただくという方法をとっています。 調査にご協力いただいている皆様、この場を借りてお礼申し上げます。


日本で沖縄だけに生育する着生植物に棲むダニの研究を行っていた学生は、 年に数回沖縄にでかけては大量のサンプルをゲットして、研究室に持ち帰ってひたすら分析!という方法をとっていました


このように、工夫しだいでその他の調査地での研究を行うことも可能ではあります。 ただしその場合は各自での工夫や努力が必要となりますし、生態学の研究を行ううえで、 調査地に頻繁に通い、その生物が生きる場所の実態をを把握することは大変重要なステップとなります。 ですから、もしあなたが高校生やこれから卒業研究のための配属先を探す学部生なのであれば、 テーマの設定時には足を運びにくいむやみに遠い調査地での研究よりは、その場所に慣れた先輩や頼りになる技官さんのいらっしゃる、 前記2ヶ所での研究を勧められることになるかもしれません。


どんな研究ができるのか興味をもたれた方は、どうぞ遠慮なく、森林保護学研究室のドアをたたいてください。 親切な先生方や先輩方が、きっとあなたの興味をもっとも実現できる方法を一緒に考えてくれるはずです。