昆虫と微生物の共生関係

諸見里穂高−菌類と昆虫の共生関係−

 環境への適応のため昆虫は様々な戦略をとっており、その1つにゴール形成があげられます。ゴールとは、植物体上に形成されるこぶ状の構造体を指し、 ゴールの内、内部に菌糸で形成された層状の構造を有するものをアンブロシアゴールと言います。ゴール形成昆虫と菌類は、共生関係にあるとされています。 本研究では、共生関係の全貌を昆虫側メリットの視点からを解明していきます。



藤野七瀬

竹から生まれた"かぐや姫"……そんなあだ名をつけたくなる虫が日本の竹林には生息しています。ニホンホホビロコメツキモドキといって、彼らは竹の節の中に産卵し、その節の中で育つのです。幼虫は、共生菌を餌にして、成虫になるまで1つの節内に留まります。竹と虫と菌、彼らの種間関係を紐解くべく、飼育実験やDNA解析などを中心にして調査を行っていきます。



卒業生 ―共生菌の持つ防御能力―

 葉っぱを切って巻き、中に卵を産み付けて落とすという変わった行動をする昆虫オトシブミ。子供のために小さな体をいっぱいに使って「ゆりかご」を作ります。 幼虫は葉っぱのごはんで出来たお家を食べながら成長していきます。その中でも体の小さいルリオトシブミの仲間は菌と共生することがわかってきました。 ルリオトシブミは葉っぱに噛み傷をつけ、菌を植え付けてゆりかごを作っているのです。 わざわざ菌を植える理由は何なのか? その理由を明らかにするために、共生菌の性質のうち病気や腐敗に対する抵抗能力に着目して、菌と菌を戦わせる研究しています。