研究紹介 ・ 梶村 恒

昆虫と微生物のひそかな繋がりを追う

「かじむら」といいます。 「森林の中で、微生物と昆虫が結んだ共生関係」が主要な研究テーマです。

とくに、微生物が昆虫の餌や住み場所を提供し、逆に昆虫が微生物を運搬・保護するような、 相利的な(もちつ、もたれる)関係を中心として、その巧妙で美しい関係の仕組みや起源を、生態学的な視点から調べています。

この関係が森林の衰退や樹木の枯死、材質の低下などに深く、強力に作用する時があります。 したがって、研究成果は、基礎的(生物学の進展)にはもちろん、応用的(社会問題の解決)にも貢献できると思っています。

具体的には、キクイムシ類(甲虫の仲間)やクビナガキバチ(蜂の仲間)と、その共生菌を対象にしてきました。

今後は、その他の昆虫や菌にも取り組んでいきたいと思っています。 まだ発見されていない、とんでもない共生関係が必ずどこかに潜んでいるはずなので・・・。

「森林の中で、種子を利用する昆虫の生態」についても、興味を持っています。 種子生産のパターンやメカニズムなど、植物側の生態はよく調べられているのですが、 どのような昆虫がどのように種子を利用しているかは、意外にわかっていません。 これらの研究を進める中で、昆虫類が示す「食性の進化」や「社会的な行動」にも注目しています。

上記のキクイムシ類は、種類によって、樹木の様々な部分や菌そのもの(アンブロシア菌と呼ばれ、神話に出てくる“不老不死の食べ物”が語源)も食べるので、その発達の道筋を考えています。 また、家族生活を営んでいるのですが、その詳細はまだよくわかっていません。 最近、人工飼育の方法を開発し、継続して観察できるようになりました。とんでもない発見ができるかも!?

 

 



研究業績