シンポジウム

 3月29日 (木) 10:30~12:00に、【栄養・飼養】、【育種・遺伝】、【繁殖・生殖工学】、【形態・生理】、【畜産物利用】、【管理・環境】の各分野のシンポジウムを開催します。


【栄養・飼養】

「米の栄養特性と生理的機能性:飼料用米の優位性発掘を目指して」

オーガナイザー:
 豊水正昭(東北大学大学院農学研究科)
 村井篤嗣(名古屋大学大学院生命農学研究科)

趣旨:
 家畜の飼料源として米を普及させるための取り組みが全国各地で行われている。本シンポジウムでは、食品分野で研究が進められてきた米成分の栄養特性と生理的機能性についての知見、さらに、集積されつつある家畜における飼料米の生理的機能性についての知見を紹介する。飼料源としての米の優位性を発掘し、普及への足がかりを得ることを本シンポジウム立案の趣旨とする。

タイトル・演者:
 「米タンパク質の特性と機能性」
   門脇基二(新潟大学)
 「米油に含まれるビタミンE群の特性と機能性」
   池田彩子(名古屋学芸大学)
 「ニワトリにおける飼料用米の研究、とくに機能性に関する研究について」
   阿部啓之(畜産草地研究所)
 「養豚において飼料用米給与に優位性はあるか?~2012年3月における研究到達点から~」
   勝俣昌也(畜産草地研究所)


【育種・遺伝】

「鳥類バイオサイエンス研究の新たな展開」

オーガナイザー:
 松田洋一(名古屋大学大学院生命農学研究科)
 小野珠乙(信州大学農学部)

趣旨:
 2004年にニワトリの全ゲノム配列が、哺乳類以外の羊膜類として初めて解読され、最近ではゼブラフィンチ、シチメンチョウの全ゲノム配列も明らかにされた。現在、さらに多くの鳥類種でゲノム解読プロジェクトが進行しつつあり、鳥類においても本格的なポストゲノム研究の時代が到来した。今後の鳥類バイオサイエンス研究の進展のためには、様々なリソースの整備とともに、さらなる技術革新が求められている。 本シンポジウムでは、鳥類の始原生殖細胞、遺伝子導入、形態形成の分子制御、新たな鳥類種のゲノム解析などに焦点を当て、鳥類における発生生物学、分子生物学、ゲノム科学における今後のポストゲノム研究について展望する。

タイトル・演者:
 「鳥類始原生殖細胞の移植と生殖工学への応用」
   中村隼明(基礎生物学研究所生殖細胞研究部門)
 「Tol2遺伝子導入法から見えてきたトリ始原生殖細胞の血管内移動機構」
   斎藤大介(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科)
 「手足の発生をモデルとした形態形成の定量的理解」
   鈴木孝幸(名古屋大学理学部生命理学科)
 「次世代シーケンサーを用いたニホンウズラのゲノム解読」
   川原玲香(東京農業大学生物資源ゲノム解析センター)


【繁殖・生殖工学】

「胚発生を支える卵母細胞・受精卵特異的機能の解析」

オーガナイザー:
 小倉淳郎(理研バイオリソースセンター)
 束村博子(名古屋大学大学院生命農学研究科)

趣旨:
 卵子(卵母細胞)は、受精前のみならず受精後もさまざまな特異的機能を発揮し、初期胚発生を支えている。この数年、遺伝子工学および発生工学的手法の進展により、これらの受精後の機能が予想以上に多様でしかも重要であることが証明されている。特筆すべきは、これらの研究の多くが我が国の研究者により先導されていることである。本シンポジウムでは、現在これらの独創的研究を進めている3人の研究者を一堂に集め、卵母細胞の秘められた能力に迫りたい。

タイトル・演者:
 「受精前後におけるゲノムリプログラミングへのヒストン変異体置換の関与」
   青木不学(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
 「初期胚発生を支える卵母細胞核小体」
   大串素雅子(京都大学大学院医学研究科)
 「マウス胚発生におけるオートファジー(自食作用)の役割」
   塚本智史(放射線医学総合研究所)


【形態・生理】

「形態・生理分野のリサーチフロント」

オーガナイザー:
 本道栄一(名古屋大学大学院生命農学研究科)
 吉村崇(名古屋大学大学院生命農学研究科)

趣旨:
 近年、国内外において応用研究の重要性が強調されているが、歴史を振り返ると優れた基礎研究から優れた応用研究が創出されている。本シンポジウムでは、「精子を大量かつ正確に生産し続ける精子幹細胞の制御機構」、「精子を長時間にわたって貯蔵できる鳥類の精子貯蔵管における精子の制御機構」、及び「ウイルスが動物形態、特に真獣類の胎盤獲得にどのように関与したのか」について紹介していただき、動物が獲得してきたユニークかつ、巧みな生存戦略に注目することの重要性について再考する場を提供したい。

タイトル・演者:
 「マウス精子形成幹細胞の正体とふるまい」
   吉田松生(基礎生物学研究所生殖細胞研究部門)
 「鳥類の雌性生殖器の特殊性と受精戦略」
   笹浪知宏(静岡大学農学部)
 「寄生ゲノムによる哺乳類の進化」
   宮沢孝幸(京都大学ウイルス研究所)


【畜産物利用】

「畜産物利用学分野の将来展望」

オーガナイザー:
 齋藤忠夫(東北大学大学院農学研究科)
 池内義秀(九州大学大学院農学研究院)
 芳賀聖一(名城大学農学部)

趣旨:
 食の三次機能を多く備えている乳製品「チーズ」について、その基礎研究の第一線にある成果報告、また、日本の食文化に馴染み難いチーズの未来展望について、さらには我が国の特徴的食文化の流れに沿った「霜降り肉」に関する研究の最前線を取り上げ、畜産物利用学の将来の一端をみることにする。

タイトル・演者:
 「機能性チーズ創製のための基盤研究-チーズの機能性成分-」
   井越敬司(東海大学農学部)
 「日本のチーズ需給の現状とチーズ市場拡大に向けた取り組み」
   田中穂積(雪印メグミルク(株)チーズ研究所)
 「人為的制御による肉用家畜の経済形質(筋量および脂肪率)の改変技術
   -その可能性と展望-」
  1)骨格筋に出現する脂肪細胞の起源とその蓄積機序
   山内啓太郎(東京大学大学院農学研究科)
  2)筋肉内脂肪組織の分布を決めるメカニズムへのアプローチ
   谷口幸雄(京都大学大学院農学研究科)


【管理・環境】

「国際基準作成が進むアニマルウェルフェア ‐日本の実験動物と家畜-」

オーガナイザー:
 竹田謙一(信州大学農学部)

趣旨:
 アニマルウェルフェアに関する世界的な関心の高まりの中、OIEは2005年から家畜の輸送や屠殺時におけるアニマルウェルフェア指針を作成した。家畜種別の具体的な飼養指針作成は今後の予定とされている一方で、実験動物の飼養に関するアニマルウェルフェア指針は既に2010年に作成された。
 わが国では、実験動物協会によって、「実験動物福祉憲章」が平成6年に、「実験動物生産施設等における動物福祉指針」が平成11年に策定された。家畜では平成23年にようやく「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」が公表された。
 国際基準と比較すると、それらの指針は数歩遅れているようにも見える。本シ ンポジウムでは、直近の世界的動向を紹介し、日本の現状と将来について、また 国際的な指針や基準策定に対して、私たちはどのように向き合っていけばよいのかについて議論する。

タイトル・演者:
 「実験動物のウェルフェアに関する国際的な動向と日本の現状」
   黒澤努(大阪大学大学院医学研究科)
 「家畜のウェルフェアに関する国際的な動向と日本の現状」
   田中智夫(麻布大学獣医学部)