塩腺の構造解明

イネ科における塩腺の機能形態の解明


土壌の塩分濃度が高い場合、植物は吸水と共に過剰な塩類を体内に蓄積してしまい、正常な生理代謝が阻害されます。そのような塩害に対して、高い耐性を示す耐塩性植物の中には、根から吸収した過剰な塩類を葉表面に排出する塩腺をもつものがあります。

これまでに双子葉植物における比較的大型(ルーペで視れる大きさ)の塩腺については、その塩排出メカニズムの解明が進んできています。しかし、農業上重要な作物の多くが属するイネ科でみられる塩腺は、非常に小さく(約0.01 mm)その排出メカニズムはほとんど解明されていません。

当研究室では耐塩性があり、かつ塩を排出する(図@、A)ことが知られているイネ科牧草のローズグラスを対象に、走査型電子顕微鏡(図B)および透過型電子顕微鏡(図C)を駆使して機能形態の解明を目指しています1-3)

【写真説明】
@ ローズグラスの葉表面上への塩排出の様子(実体顕微鏡)1)
A ローズグラス葉表面上の排出液(上)および塩腺(下,矢印)(走査型電子顕微鏡,低真空モード)
B ローズグラスの塩腺(走査型電子顕微鏡)1)
C ローズグラスにおける塩腺の断面図(透過型電子顕微鏡)1)

【参考文献】
1) Oi et al. (2012) Int J Plant Sci 173: 454-463.
2) 大井ら (2013) 日作紀 82: 378-385.
3) Oi et al. (2013) Flora 208: 52-57.


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