塩ストレスがイネ品種の成長、イオン蓄積、根の特性に及ぼす影響

塩ストレスは、作物の成長と収量を低下させる環境要因の一つです。爆発的に増加する地球上の人口を支える食糧を確保するためには、塩類集積地の有効利用が重要な課題の一つとして挙げられます。

しかし、イネなどの主要作物は耐塩性が低く、塩類集積地での栽培は困難です。農作物における塩ストレスの影響を軽減し、また農作物の耐塩性を増強するためには、まず作物における塩ストレス障害発現と耐塩性の機構を明らかにし、その結果に基づいて有効な対策を立てる必要があります。

本研究では、イネの耐塩性向上のための知見を得るために、耐塩性が異なる数品種のイネを用い、塩類集積地の主要な有害成分であるNaClによって引き起こされる障害と、耐塩性の種間差の要因を組織形態学的に研究しています。

1.塩ストレスがイネの構造に及ぼす影響

走査型電子顕微鏡(SEM)によるNa+の吸収に関わる根の構造変化の観察。 塩ストレスはイネの根の先端の根冠の構造に影響を与えます。

2.イネの根の断面構造

無機イオンの取り込み抑制に関与するといわれる内皮のカスパリー線の蛍光色素による染色。

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