動物ではオスとメスがいるのが一般的ですが、植物では雄株と雌株に分かれているものは全体の数%に過ぎないといわれます。ほとんどの植物は、両性花と呼ばれるおしべとめしべの両方がある花を咲かせます。
しかし、両性花では自家受粉しやすく、近親交配が起こりやすいというデメリットがあります。植物はこのような近親交配を避けるため、さまざまな繁殖戦略でこの問題に対処しています。
例えば、一つの花の中でめしべとおしべを出す時期をずらしたり、自分の花粉を受粉しても受精しないシステム(自家不和合性)を進化させたり。また、両性花ではなく、雄花と雌花を別々につけたり、雄株と雌株に分かれている植物もあります。
このように、植物の繁殖戦略はとても複雑で多様です。さまざまな繁殖システムがどのように進化してきたのか、また、実際に開花・結実がどのように起きているのかを知ることは現在の種多様性を理解するうえで重要です。
本研究室では、さまざまな性表現や繁殖戦略をもつ樹木を対象に、雌雄の成長戦略の違いや開花・結実システムについて研究しています。
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雄株と雌株に分かれている雌雄異株の植物では、性別によって繁殖への資源配分や成長パターンに違いが見られます。
では、その違いはどの程度で、どのような意味があるのでしょうか?
現在、低木樹種シロモジを対象にこのような雌雄での繁殖戦略の違いについて研究しています。
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サクラの開花前線や紅葉前線のような生物現象の季節変化をフェノロジー(生物季節)といいます。
植物の開花フェノロジーは、繁殖の成功を左右する重要な要素です。
海上の森に分布するシデコブシ個体群の開花パターンを調べ、周囲の環境が開花に与える影響やその後の結実などへの影響を研究しています。 |