土壌圏物質循環学研究分野では、土壌圏を中心にした環境中における物質、特に炭素、窒素の動態解明を目的とした研究を行っています。土壌中では炭素、窒素のほとんどは有機態として存在しており、その中心は腐植物質と総称される一連の暗色無定形の高分子物質(フミン酸、フルボ酸等)です。地球温暖化が加速的に進行している現在、陸域における最大の炭素貯蔵庫として土壌の存在を欠くことはできません。また、増加し続ける人口に対する食料確保のためには土壌肥沃性(生物生産性)の維持・改善が不可欠ですが、肥沃性の本質は豊かな土壌有機物にあります。特に土壌有機物の分解消耗が激しい熱帯では、持続的生物生産を保証するそれらの集積が最重要課題といえます。当研究分野では、土壌中における有機物の安定化機構、腐植物質の生成および続成過程、農耕地からの温室効果ガス発生に関わる要因等を調べています。また、腐植物質は各種金属元素と高い錯形成能を持ち、水溶化することで金属元素の土壌圏からの溶出や水圏における挙動(移動・沈殿・生物利用性等)に強く影響しています。我々は森林や湿地といった水圏への腐植物質供給能の高い環境を中心に、土壌―河川―海における溶存有機物と金属生元素の動態についても研究を行っています。





Copyright (C) 2014 Resources Cycling in Pedoshere Lab., all rights reserved.