当研究室のミッション
 生物は様々な分子を使って生命活動を営んでいます。その中には、核酸、タンパク質、多糖などの生体高分子と共に多くの低分子化合物が含まれ、非常に重要な役割を果たしています。例えば、動植物のホルモンの多くは極微量生産されている低分子化合物で、生体内システムの恒常性の維持に欠かせません。また昆虫を初めとする多くの生物が、低分子量のフェロモン分子を個体間コミニュケーションツールとして使っています。しかし、その多くは超微量物質であるため未解明で、その作用機構の詳細も謎のままです。
 一方で、植物や微生物は、いわゆる二次代謝産物に分類される多様な分子群を生産しています。これら分子群には抗生物質が含まれ、歴史的に医薬品・農薬として、人類の健康に大きく貢献してきました。これら二次代謝産物は、元々生物の生存そのものに必須ではないとされていましたが、最近の研究によって、これら分子も重要な生物学的役割を担っていることが次第に明らかになってきました。
 当研究室では、有機合成、有機化学の技術と知識を駆使することで、重要天然物の未解明課題を解決し、また二次代謝産物の可惜な生物機能を明らかなすることで、人の食と健康に貢献することを目的としています。 (文責 西川俊夫)