ラット肝細胞の初代培養法


  • 試薬


    肝細胞の分離


     ネンブタール(ABBOTT)麻酔下のラットを0.02%ヒビテン液(ICI ファーマ)を用いて全身を消毒し、ラットを開腹門脈を露出する。門脈に縫合糸のループをかけた後、門脈に切れ目を入れる。切開部から溢れ出る血液をカニューレの先端から滴下する前潅流液で洗い流しながらすばやく門脈の切開面からカニューレを挿入し縫合糸で結紮する。同時に肝臓下の下大静脈を切断し、流速を20ml/minで潅流し、脱血および前潅流液を放出させる。

     次に、胸郭部を開き心臓を露出させ、横隔膜下の下大静脈に縫合糸のループをかけた後、切断した肝臓下の下大静脈を鉗子で結紮し、右心房を切開して別のカニューレを右心房から下大静脈に挿入し、結紮する。この状態で前潅流液がなくなるまで潅流を続ける。前潅流液がなくなりそうになったら、ポンプを止め、前潅流液をコラゲナーゼ溶液に交換し、再び潅流を始める。始めの30秒は流速を30ml/minで潅流し、後は20ml/minでコラゲナーゼ溶液がなくなるまで潅流する。潅流が終わったら、肝臓をシャーレに取りメスで軽く細分し、20ml程のMEMを加え、先太駒込ピペットで軽くピペッティングし、細胞ろ過器でろ過する。

     得られた粗分散細胞浮遊液を500-600rpmで1分30秒間遠心分離する。上清は吸引して除き、新たにMEMを加え再び遠心分離する。この操作を4回繰り返すことによりほぼ均一な肝実質細胞を得ることができる。

     得られた肝実質細胞懸濁液から0.2mLとり、0.03g/2mL トリパンブルー0.2mL、MEM 1.6mLと懸濁し、Viabilityと細胞濃度を計測し、1.2x10 6 cells/mLになるように培地で懸濁する。この細胞懸濁液を100mm径のディッシュに8mLプレーティングする。なお、死細胞を除くためプレーティング4時間後に1×PBSで洗浄後培地交換を行う。この後は毎日培地交換を行う。全ての実験で無血清培地を用いた。


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    Updated 5/3/97