細胞外マトリクスのコーティング


市販ディシュの利用

・I 型コラーゲンディシュとして、IWAKI: 100mm/Collagen Coated Dish (25020 COL1)を使用した。
・IV 型コラーゲンディシュとして、Collaborative Biomedical products: 100mm/mouse Collagen IV Coated Dish (Cat. No. 40453) を使用した。
・ラミニンディシュとして、Collaborative Biomedical products: 100mm/mouse Laminin Coated Dish (Cat.No. 40452) を使用した。
・TIC コートディシュ、ラミニンコートディシュには100mmディシュ(Falcon 1029)に前日のうちにI 型コラーゲン液(3.0mg/mL, pH 3.0)(新田ゼラチン: コラーゲン type I-P)、ラミニン液(1mg/ml)(Collaborative Biomedical products: laminn-entactin-free mouse, Cat. No. 40239)をコートしておいたものを用いた。(下記参照)
・EHS-gel ディシュ、TIC-gel ディシュには、100mmディシュ(Falcon 3003)に前日のうちにEHS-gel、TIC-gelを塗布しておいたものを使用した。(下記参照)

I 型コラーゲンコートディシュの調製

I 型コラーゲン液(3.0mg/mL, pH 3.0)(新田ゼラチン: コラーゲン type I-P)を滅菌した1mM HClにより希釈し、100μg/mL、0.5μg/mLの2種の濃度に調製した。各溶液を100mm ディシュ(Falcon 1029)の底面を満たすように加え(100μg/mLのとき約8mL、0.5μg/mLのときやく15mL)37℃で1時間放置して、その後コラーゲン溶液を取り除き、滅菌済みのPBSで2回洗浄した。すぐに使用しない場合はディシュの表面が乾燥しないようにPBSを満たしておき、使用直前に除去し、肝細胞をプレーティングした。

ラミニンコートディシュの調製

ラミニン液(1mg/ml)(Collaborative Biomedical products: laminn-entactin-free mouse, CAT. No. 40239)を滅菌した無血清 Waymouth's MB752/1培地により希釈し、100μg/mL、10μg/mL、0.5g/mL、0.2g/mL、0.1g/mLの5種の濃度に調製した。各溶液を100mm ディシュ(Falcon 1029)の底面を満たすように加え(100μg/mLのとき約8mL、0.5μg/mLのときやく15mL)、室温で1 時間放置して、その後ラミニン溶液を取り除き、滅菌済みのPBSで2回洗浄した。ディシュの表面が乾燥しないように無血清 Waymouth's MB752/1培地を満たしておき、使用直前に除去し、肝細胞をプレーティングした。

EHS-gel ディシュの調製

EHS-gel(約5.4mg/mL)500mLを滅菌済みパスツールピペットを用いて作製したスプレッダーを用いて100mmディシュ(Falcon 3003)に広げ、37℃に30〜60分放置してゲル化させた。すぐに使用しない場合は乾燥を防ぐため、Waymouth's Mediumを満たした。

TIC-gel コートディシュの調製

試薬
 10 x Waymouth's MB752/1培地
 Waymouth's MB752/1培地(GIBCO BRL: Lot No.71N2643: w/L-glutamine、w/o sodium bicarbonate) 14.12gを蒸留水に溶解させ、全量を100mLとした。0.22 μmのメンブレンフィルターでろ過滅菌し、滅菌済みのメディウム瓶に移 し4℃で保存した。

 再構成用緩衝液
 0.05N NaOH
 2.2% NaHCO3
 200mM HEPES
 1N NaOH 水溶液0.5mL、NaHCO3 0.22g、HEPES 0.477g を蒸留水に溶解さ せ、蒸留水で10mL に定容した。0.20μm のメンブレンフィルターでろ過 滅菌し、4℃で保存した。

 I 型コラーゲン液(3.0mg/mL, pH 3.0)(新田ゼラチン コラーゲン Type I-P)と氷冷した10 x Waymouth's MB752/1培地と再構成用緩衝液を氷中で8:1:1の比で混合した。この際、コラーゲンと培地を混合した後に緩衝液を加えよく混ぜた。この混合液を60mm ディシュ(Falcon 3002)一枚あたり350μL表面に広げて37℃で1時間静置しゲル化させた。ゲル化させた後乾燥を防ぐために無血清のWaymouth's MB752/1培地を約2mL満たした。

培地中へのラミニンの添加

 実験開始48時間後に8mL の培地中にラミニン液(1mg/ml)(Collaborative Biomedical products: laminn-entactin-free mouse, CAT. No. 40239)をタンパク質濃度125μg/mL となるように加えた。

EHS-gelの肝細胞上への重層

 実験開始4時間後または48時間後に8mL の培地中に EHS-gel をタンパク質濃度500μg/mL、200μg/mL、100μg/mL、20μg/mL となるように加えた。ここには100mm ディシュ1枚あたりの方法を示す。60mm の場合は面積で比例計算して算出した量を用いた。氷中で必要量のEHS-gel をWaymouth's MB752/1培地に全量で2.5mL になるように溶解させた。次にこの溶液全量を室温のWaymouth's MB752/1培地1.5mLと混合し4mL とした。細胞にはあらかじめ37℃の新しいWaymouth's MB752/1培地4mL を入れておき、ここにEHS-gel 含有Waymouth's MB752/1培地 4mL を加え全量を8mL としディシュ全体をよく撹拌した。PB、Dex などで処理をする場合はこれらの物質は室温のWaymouth's MB752/1培地1.5mL中に添加するか、最後にディシュに直接添加した。実験開始4時間後から終了までずっと EHS-gel を重層する実験では、24時間後、48時間後には細胞上のEHS-gel をディシュを傾け吸引することによりできる限り除き、同様の方法でEHS-gel を重層した。

TIC-gelの肝細胞上への重層

 実験開始4 時間後または48時間後の細胞上にTIC-gel を重層した。用いた試薬は前述の TIC-gel コートディシュの調製 と同じである。I 型コラーゲン液(3.0mg/mL,pH 3.0)(新田ゼラチン コラーゲン Type I-P)と10 x Waymouth's MB752/1培地と再構成用緩衝液を氷中で8:1:1の比で混合した。この際、コラーゲンと培地を混合した後に緩衝液を加えよく混ぜた。この混合液を TIC-gel をコートした60mm ディシュ上で培養している肝細胞の上に1mL ゆっくりの加え、全体に行き渡らせた。これを37℃、5% CO2 のインキュベーター中で30分間静置してコラーゲンをゲル化させた。ゲル化したのを確認した後Waymouth's MB752/1培地を2mL 加えた。PB、Dex などで処理をする場合はこれらの物質はこの培地中に添加した。実験開始4 時間後から終了までずっと TIC-gel を重層する実験では、24時間後、48時間後にゲル化したコラーゲンを吸わないように培地のみを吸引により除き、新たに培地を加えた。


戻る

hirooda@agr.nagoya-u.ac.jp
Updated 12/16/97