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生命共生学研究分野では地球の砂漠化による土壌の乾燥/塩害と、温暖化に伴う熱ストレスが植物に及ぼす影響を植物生理学的分子生物学的機能形態学的に解析しています。

 

植物は塩ストレスや熱ストレスを受けると、それに応答し適応するための機構を持っています。わたしたちは、これらのストレスで発現が誘導される遺伝子群を明らかにしました。これまでにオオムギを実験材料とし、ストレスによって発現が誘導される遺伝子を根で約200個、葉で約50個クローニングしています。これらの遺伝子を概観するとストレス応答/適応に関与するメカニズムが見えてきます。

例えば、植物がストレスを受けることで作る活性酸素を消去する遺伝子群、植物体内に取り込まれた塩を排出するための遺伝子群、浸透圧調整のための遺伝子群、ストレス下で細胞膜、蛋白質、核酸を安定化する遺伝子群の存在が明らかになりました。また、これら複数の遺伝子群を制御するマスター遺伝子も発見されています。

わたしたちは不適環境と植物の共生を図ることは極めて重要な課題と考えており、これらの有用な遺伝子をストレス耐性の弱い植物に導入し、強い耐性を付与した作物の作出を目指しています。また、光合成を活性化することで成長促進作用を発揮する塩湖のラン藻の遺伝子を植物に導入し、バイオエタノールを作る研究も展開しています。