【主要論文の内容概略】

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Hiraide, Y., Oshima, K., Fujisawa, T., Uesaka, K., Hirose, Y., Tsujimoto, R., Yamamoto, H., Okamoto, S., Nakamura, Y., Terauchi, K., Omata, T., Ihara, K., Hattori, M. and Fujita, Y.

 

Loss of Cytochrome cM Stimulates Cyanobacterial Heterotrophic Growth in the Dark.

 

Plant Cell Physiol. 56,334-345 (2015)

 シアノバクテリアは、光からエネルギーを獲得する光合成独立栄養生物です。一方、光が得られない暗所では、光合成で作られた有機物を分解してエネルギーを得る従属栄養的な能力も有しています。この能力は、夜間や光が乏しい環境での生き残りに重要です。ところが、暗所で従属栄養的に生育できるシアノバクテリア種はそれほど多くありません。このことから、シアノバクテリアでは従属栄養的な代謝が厳密に制御されていると推察されますが、その制御機構についてほとんどわかっていません。シアノバクテリアの一種Leptolyngbya boryanaレプトリンビア ボリアナ(旧名Plectonema boryanum)は、暗所でも従属栄養的に生育できると文献的には報告されていますが、実際に野生型を暗所で培養してもその生育は非常に遅いものです。藤田は、大学院生の頃からこのシアノバクテリアを使って研究を始めましたが、暗所生育が不十分であると実感していました。そこで、1991年に暗所でも良好に生育できる自然変異株dg5を単離し、これを親株として研究を行ってきました。確かに、完全暗所での生育は大変良好で、30 mMグルコース存在下で培養すると世代時間が59 hで生育することができます (Kada et al. 2003)。しかし、どのような変異によってこのような良好な従属栄養生育が可能となったのかずっと不思議に思っていました。ゲノムを解読することが容易となった今日、次世代シーケンサーを活用して、野生型とdg5のゲノムを解読して、この変異を同定してみようと考えました。さいわい、東京大学の服部正平先生の研究室の大島健志朗先生にお願いしてde novodg5のゲノムを解読していただきました。このゲノム配列をレファレンスとして、名古屋大学遺伝子実験施設の井原邦夫先生たちに野生型とdg5SOLiDシーケンサーでリシーケンスしていただきました。その結果、なんとdg5と野生株の違いがわずか3箇所(環状ゲノム6,176,364 bp中)でした。さらに、それぞれの変異を個別に導入した一連の変異株を単離して、その暗所生育を比較することで、ついにdg5の形質をもたらす変異を特定することに成功しました。驚いたことにその変異は、シトクロムcMとよばれる機能が不明なシトクロムをコードするcytMにフレームシフトを引き起こす一塩基挿入でした。cytM遺伝子はほぼすべてのシアノバクテリアに保存されているので、シアノバクテリアのモデルとして広く使われているSynechocystis sp. PCC 6803でもcytM欠損株を単離しました。Synechocystis sp. PCC 6803は、完全暗所では生育できませんが、毎日10分くらいだけ光を照射することで初めて暗所での従属栄養的生育が可能となることが知られていました。なんと、cytM欠損株はこのような光照射がなくても完全な暗所でも生育することが可能となりました。このことは、シトクロムcMは従属栄養的な代謝を抑制するような機能をもっていることを示唆しています。

 cytMは村田紀夫先生らによって1994年に発見されましたが、その生理機能は不明のままでした (Malakov et al. 1994, 1999)。今回の成果は、その機能解明に向け大きな一歩を踏み出したことになります。

 この成果は、Plant and Cell Physiology 2月号のResearch Highlightsに取り上げていただきました。

 

 

 

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Tsujimoto, R., Kamiya, N. and Fujita, Y.

 

Transcriptional regulators ChlR and CnfR are essential for diazotrophic growth in nonheterocystous cyanobacteria.

 

Proc. Natl. Acad. Sci. USA 111, 6762-6767 (2014)

 大気中の窒素を多くの生物が利用できるアンモニアへと変換するプロセスを窒素固定といいます。窒素固定反応を触媒する酵素ニトロゲナーゼは、酸素(O2)に触れると直ちに壊れてしまうため、窒素固定を行うためにはO2のない嫌気環境が必要です。シアノバクテリアはO2を発生する光合成を行う原核生物で、その多くが窒素固定能をもっています。シアノバクテリアにおいてO2を出す光合成とO2を嫌う窒素固定がどのように共存しているのでしょうか?この論文では、窒素固定性シアノバクテリアの一種Leptolyngbya boryanaレプトリンビア ボリアナ(旧名Plectonema boryanum)をつかって、細胞のO2レベルが低いことを感知して窒素固定を開始させる転写活性化タンパク質CnfRを発見したことを報告しています。

 私たちは、L. boryanaのゲノムの一領域に、窒素固定に関連する遺伝子が密集した窒素固定遺伝子クラスターを見つけました。この遺伝子クラスターの一つもしくはいくつかの遺伝子をまとめて欠損した変異株11株(NK1NK11)を単離し、窒素固定的生育とニトロゲナーゼ活性を調べると、5株が窒素固定能的生育不能という形質を示しました。特に、このうちの1NK4はニトロゲナーゼの構造遺伝子の欠損株と同じくらい完全にニトロゲナーゼ活性を失っていました。NK4では、窒素固定遺伝子群の転写物がまったく検出されない上に、シャトルベクターでこの欠損させた遺伝子を構成的に発現させると、窒素源(NO3)の存在下でも窒素固定遺伝子群の転写が認められ有意なニトロゲナーゼ活性が検出されました。この結果は、NK4で欠失させた転写制御タンパク質が、窒素固定のマスターレギュレーターとしての機能をもつことを示しています。私たちは、このタンパク質をCyanobacterial Nitrogen Fixation RegulatorにちなんでCnfRと名付けました。CnfRは、N末端領域に鉄硫黄クラスターを保持するモチーフをもち、この鉄硫黄クラスターを介して細胞のO2レベルを感知して窒素固定遺伝子群の転写を活性化する機能をもつと考えられます。この成果は、読売新聞、科学新聞で紹介されるとともに、科学技術の最新情報を提供する総合WEBサイト“サイエンスポータル” http://scienceportal.jp/ でも紹介されました。また、窒素固定研究の権威であるRay Dixon教授によりF1000primeに推薦されました。

 

 

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Aoki, R., Takeda, T., Omata, T., Ihara, K. and Fujita, Y.

 

MarR-type transcriptional regulator ChlR activates expression of tetrapyrrole biosynthesis genes in response to low-oxygen conditions in cyanobacteria.

 

J. Biol. Chem. 235, 13500-13507 (2012)

 

 この論文では、シアノバクテリアが環境の低酸素に応答し、特定の遺伝子クラスターを発現誘導する新たな転写制御タンパク質ChlRを同定しました。私たちは、これまでの研究で、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803には、2つのヘムオキシゲナーゼのアイソフォームをコードする遺伝子ho1ho2が存在し、ho1を欠損した株は嫌気的条件でのみ生育可能で好気条件では生育できないことを明らかにしてきました。ところが、偶然、このho1欠損株から好気的条件でも生育が可能な偽復帰変異株R1が取れてきました。そこで、R1のゲノムを次世代シーケンサーによって解読し、野生株のゲノムと比較してR1特有のGからCへの1塩基置換を特定しました。この変異により、135残基からなる機能未知のタンパク質Sll151235番目のアスパラギン酸がヒスチジンに置換されます。その結果、野生株では低酸素条件でのみ発現が誘導されるho2を含むオペロンchlAII-ho2-hemNが、この偽復帰変異株では好気的条件下でも発現し、好気条件下でも生育が可能となることが分かりました。さらに、sll1512を欠損させた変異株は、好気条件では正常に生育しますが、低酸素条件ではクロロフィル含量が大幅に低下しほとんど生育できませんでした。この形質は、低酸素条件で本来発現するべきchlAII-ho2-hemNオペロンが発現しないことによってもたらされたものと推察されます。Sll1512は、chlAII-ho2-hemNオペロンの転写活性化に必須の転写制御タンパク質であり、偽復帰変異株ではアミノ酸置換D35Hにより恒常的に転写を活性化するスーパーアクティベータとして機能していると推察されます。これらの結果から、sll1512chlRと呼ぶことを提唱しました。

 小俣先生のグループの武田さんがゲルシフトアッセイで協力してくれたおかげで、ChlR-D35H変異タンパク質がchlAII-ho2-hemNオペロンの上流DNAと結合することを明快に示すことができました。また、名大の遺伝子実験施設の井原先生との協同研究として同施設に導入された次世代シーケンサーSOLiDを活用した成果です。

 

 


 

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Muraki, N., Nomata, J., Ebata, K., Mizoguchi, T., Shiba, T., Tamiaki, H., Kurisu, G. and Fujita, Y.

 

X-ray crystal structure of the light-independent protochlorophyllide reductase.

 

Nature 465, 110-114 (2010)

 

 この論文では、クロロフィル生合成系の最終段階で作用する暗所作動型プロトクロロフィリド還元酵素(DPOR)の触媒コンポーネントNB タンパク質の結晶構造を基質結合型と非結合型について明らかにし、プロトクロロフィリドのD環還元の立体特異的な触媒機構を提唱しました。また、NB タンパク質において電子を中継する鉄硫黄クラスターが、3つのシステイン残基と1つのアスパラギン酸残基によって保持される特異な[4Fe-4S]クラスターであることが判明し、この金属中心をNB-クラスター”と名付けました。さらに、DPORとニトロゲナーゼは、全体構造のみならず、電子伝達に関わる金属中心と基質プロトクロロフィリドの空間的な配置(ニトロゲナーゼNB-タンパク質におけるNB-クラスターとプロトクロロフィリド、ニトロゲナーゼMoFe タンパク質におけるPクラスターとFeMo-co)も保存されていることが分かりました。この構造的特徴から、安定な多重結合(ポルフィリンと窒素分子)を還元する分子機構に共通の構造基盤が存在することが示唆されました。この成果は、朝日新聞他4誌で紹介されました。

 結晶構造解析は大阪大学蛋白質研究所の栗栖源嗣教授にお願いし、この酵素の阻害剤クロロフィルは立命館大学の民秋均教授に供給していただきました。

 

 

 

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Minamizaki, K., Mizoguchi, T., Goto, T., Tamiaki, H. and Fujita, Y.

 

Identification of two homologous genes, chlAI and chlAII, that are differentially involved in isocyclic ring formation of chlorophyll a in the cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803.

 

J. Biol. Chem. 283, 2684-2692 (2008)

 クロロフィルは、4つのピロール環に加えて5番目の環構造(E環)をもつことが大きな構造的特徴です。本論文では、シアノバクテリアにおいて、E環形成を触媒する2つのアイソフォームをコードする遺伝子chlAIchlAIIが環境のO2レベルに応じて機能分化していることを変異株の形質と色素分析から示すことができました。chlAIを欠損する変異株は、好気条件では生育できず嫌気環境でのみ生育可能という条件致死形質を示します。一方、chlAII欠損株は、好気条件でも生育可能ですが、嫌気条件では生育が有意に遅くなります。これらの形質は、chlAIが構成的に、chlAIIが嫌気条件でのみ発現するという転写物様態とよく一致しています。また、これらの変異株は、E環形成の前駆体Mg-プロトポルフィリンIXモノメチルエステル(MPE)を蓄積していました。これらの結果から、E環形成を触媒する酵素MPEシクラーゼは、好気条件ではChlAIを唯一の酵素とし、嫌気条件ではChlAIIが誘導されChlAIの活性を補助しているという機能分化が実証されました。加えて、この論文は、シアノバクテリアにおいて低酸素環境下で機能する酵素群とその発現を制御する新規転写タンパク質ChlRの発見という新たな研究展開をもたらす基点となりました。

 


Nomata, J., Mizoguchi, T., Tamiaki, H. and Fujita, Y. (2006) A second nitrogenase-like enzyme for bacteriochlorophyll biosynthesis: Reconstitution of chlorophyllide a reductase with purified X-protein (BchX) and YZ-protein (BchY-BchZ) from Rhodobacter capsulatus. J. Biol. Chem. 281, 15021-15028.

 光合成細菌は、クロロフィルとしてバクテリオクロ ロフィルa (BChl a) を使って光合成を行っています。BChl a は、植物やラン藻のもつクロロフィルaとは少し異なって、より還元されたテトラピロール環構造をもっています(詳しくいうと、クロロフィルaD環が還元されたクロリン環であるの に対し、バクテリオクロロフィルaD環とB環が還元されたバクテ リオクロリン環)。私たちは、これまでにD環還元を触媒するニトロゲナーゼ類似酵素である光非依存型(暗所作動型)プロトクロロフィリド還元酵素 (DPOR)について研究してきました。今回、B環の還元反応も第2のニトロゲナーゼ類似酵素クロロフィリドa還元酵素(COR)によって触媒されていることを示すことに成功しました。 以前の研究から、B環の還元には3つの遺伝子bchXbchYbchZが関 与していることが示されていました。そこで、光合成細菌Rhodobacter capsulatusで これらの大量発現系を構築 し、これら蛋白質を精サし、クロロフィリドa還元反応 の再現を試みました。その結果、確かにATPとジチオナイトに依存して、クロロフィリドa B環が還元された物質3ービニルバクテリオクロロフィリドa3VBChlide)が生成することが確認されました。この結果は、バクテリオクロロフィルaの 生合成系の後期において、二つのニトロゲナーゼ類似酵素(DPORCOR)が連続して働くことによって、ポル フィリン環がバクテリオクロリン環に変換されることを示しています。光合成と窒素固定の進化的関連を生化学的な立場から証明した大変重要な結果です。生成物3VBchlideの同定は、立命館大学 の溝口・民秋氏にお願いして迅速に結果を出していただきました。この論文は、JBC Paper of the Week21号、 2006526日発行)に選ばれました。

 

 

Yamazaki, S., Nomata, J. and Fujita, Y. (2006)  Differential operation of dual protochlorophyllide reductases for chlorophyll biosynthesis in response to environmental oxygen levels in the cyanobacterium Leptolyngbya boryana. Plant Physiol. 142, 911-922

 ラン藻Leptolyngbya boryana (Plectonema boryanum)は、他の多くの酸素発生型光合 成生 物と同様に、クロロフィル生合成の最終段階プロトクロロフィリド (Pchlide) 還元反応に二つの進化的由来の異なる還元酵素;光依存型Pchlide還元酵素(LPOR)と暗所作動型Pchlide還元酵素(DPOR)、をもちいて クロロフィル a を生合成しています。これら二つの系がどのように使い分けられているのかについての知見は限られていました。今回、DPORのみでクロロ フィルを生合成する変異株(LPOR欠損株)は、強光条件下では生育できない (Fujita et al. 1998) けれども、嫌気条件下では生育できることを見いだしました。いろいろな酸素レベルの条件での生育を検討すると、3%O2条件が生育 できる最高の酸素レベルであることが分かりました。この結果は、ニトロゲナーゼ類似性酵素であるDPORが酸素感受性酵素であるという推察とよく合致して います。この論文では、さらにDPORin vitroアッセイ 系を確立し、その酸素感受性を確認することに成功しました。また、抗体を用いたウェスタン解析によって、LPOR欠損株ではDPORのサブユニット ChlLChlNが野生株に比べて4〜6倍増加していることを見いだしました。以上の結果から、LPOR欠損株の生育が回復したのは、以下の二つの理由 からであると推察されました:1)環境が嫌気条件であるために酸素感受性酵素DPORが、より酸素から効率良く保護される;2)DPORサブユニット ChlLChlNの増加によって、DPOR活性そのものが亢進している。最後に、3%O2と いう酸fレベル が、推定されている約22億年前の地球の酸素レベルと一致することから、LPORが創出された時期が、遅くても22億年前であると推察しました。3%O2は、 特別な酸素レベ ルであると考え、“クロロフィルパXツール点”と呼ぶことを提唱しました。

 


Fujita, Y. and Bauer, C. E. (2003) The light-independent protochlorophyllide reduction: a nitrogenase-like enzyme catalyzing a key reaction for greening in the dark. In Porphyrin Handbook vol. 13, Chlorophylls and bilins: Biosynthesis, synthesis, and degradation. edited by Kadish, K. M., Smith, K. M. and Guilard, R., pp.109-156.

 光合成生物には、二つのプロトクロロフィリド還元 系が存在しています。一つは、光依存性プロトクロロフィリド還元酵素であり、ラン藻から被子植物まで酸素発生型光合成生物に分布しています。もう一つは、 光非依存性プロトクロロフィリド還元酵素で、光合成細菌から裸子植物にかけて分布しており、3つのサブユニット(ChlL/BchL, ChlN/BchN, ChlB/BchB)から構成され、ニトロゲナーゼと進化的起源を共有し、その構造と反応機構が類似していることが推察されます。本論文は、暗所でのクロ ロフィル合成を決定づけている光非依存性プロトクロロフィリド還元酵素に関するこれまでの多くの研究について生理学的視点、生化学的視点そして進化学的視 点でまとめており、この酵素の総説としてはこれまでで最も詳細であり、かつ最新の研究結果をカバーした総説です。ちなみに本総説は、Porphyrin Handbook (全20巻)の第80章ですが、12巻は主にヘム合成、13巻はクロロフィル合成についての総説集ナあり、きわめて詳細かつ当時の最新の情報が網羅されており、テトラピロールの生合成のバイブルともいえる本になっています。

 


Fujita, Y. and Bauer, C. E. (2000) Reconstitution of light-independent protochlorophyllide reductase from purified BchL and BchN-BchB subunits: In vitro confirmation of nitrogenase-like features of a bacteriochlorophyll biosynthesis enzyme.

J. Biol. Chem. 275, 23583-23588.

 光合成細菌Rhodobacter capsulatusを活用し、光非依存性プロトクロロフィリド還元酵素活性を精製蛋白質で再構成することに世界で初めて成功したことを報告した論文で、藤田がインディアナ大学のバウアー教授の研究室に留学中に行った仕事です。光非依存性プロトクロロフィリド還元酵素は、BchLサブユニットと BchN-BchB複合体から構成されており、その活性はMg-ATPとジチオナイトに依存しています。各サブユニット蛋白質の一次構造から指摘されていたとおり、その生化学的性質がニトロゲナーゼと類似していることを明らかにしています

 


Fujita, Y., Takagi, H. and Hase, T. (1998) Cloning of the gene encoding a protochlorophyllide reductase: the physiological significance of the co-existence of light-dependent and -independent protochlorophyllide reduction systems in the cyanobacterium Plectonema boryanum.
Plant Cell Physiol. 39, 177-185.

 ラン藻Plectonema boryanumから光依存性プロトクロロフィリド還元酵素の遺伝子porを クローニングしました。por欠損株の 形質を検討したところ、高い光強度下においてのみ生育の阻害が認められました。このことから、ラン藻は二つのプロトクロロフィリド還元酵素系を光条件に よって部分的に使い分けていることが明らかにされました。Plant and Cell Physiology, vol. 39 (1998) 2月号の表紙を飾った論文です。

 


Fujita, Y., Takahashi, Y., Chuganji, M. and Matsubara, H. (1992) The nifH-like (frxC) gene is involved in the biosynthesis of chlorophyll in the filamentous cyanobacterium Plectonema boryanum.
Plant Cell Physiol. 33, 81-92.

 ゼニゴケ葉緑体DNAに見出された機能不明の遺伝 子frxCの機能を明らかにすることを目的として、frxCホモログをラン藻Plectonema boryanumを材料としてその遺伝子欠損 株を単離し、その形質の解析から、frxCは光非依存性プロトクロロフィリド還元酵 素 に関わる遺伝子であることを世界に先駆けて報告した論文です。光合成生物の暗所でのクロロフィル合成能とfrxC遺 伝子との関連を指摘するとともに、ラン藻を用いてクロロフィル合成系を分子生物学的な手法で解析しうることを初めて示した論文で、藤田の現在の研究の原点となっています。frxC遺伝子は、以後その機能に基づいてchlLと呼ばれることになります。1994年、日本植物生理学会論文賞に選ばれました。

 

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