イネの形づくりとゲノム進化


 私たちのグループでは植物の形作りの過程に着目してそのメカニズムの解明を目指しています。胚形成は植物の成長の最初のプロセスです。胚を形成する過程では、葉・茎・腋芽の源となる茎頂分裂組織や、発芽後の初期成長に必要なエネルギーを蓄える子葉など、植物の生育に必須な様々な器官や組織が形成されます。植物の胚は直接の食料として利用されているだけでなく、油脂の生産や様々な加工食品の原材料となっており、胚形成の過程には農学的な視点からも多くの興味が寄せられています。一方、茎頂分裂組織は植物体地上部の頂端部に位置し、そこにある未分化な幹細胞から茎葉が連続的に形成されます。茎頂分裂組織はイネをはじめとするほとんどあらゆる作物にとってその生産性を大きく左右する葉や花などの器官の数や大きさに多大な影響を与えます。植物の形の多様性は胚形成過程や茎頂分裂組織の機能の違いが説明できる部分があります。多様な植物の形態を作り上げる遺伝的機構の理解は植物のゲノムそのものの進化を解き明かすテーマでもあります。
 このように形態形成機構の解明は、生物学的に重要な課題であると同時にその成果が作物の生産性向上の基礎として利用されることが期待されています。私たちの研究グループではイネの形態形成過程の解明を通して植物科学の分野から作物の生産性向上への貢献を目指しています。

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大学院生命農学研究科 生物機構機能科学専攻
資源生物機能学講座 植物遺伝育種学研究分野
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