吉村 崇 (教授 農学博士)

鳥類、哺乳類の光周性を制御する遺伝子を世界で初めて発見。その瞬間に立ち会えた時の興奮は、研究者だけに与えられた特権かもしれません。

 自然界の動物は、冬眠や渡り、毛の生え変わりなど、季節の変化にみごとに対応した正確な生体リズムを刻んでいます。アリストテレスもこの変化に気づいていましたが、日照時間(日長)の変化との関係が報告されたのは1920年。以来、さまざまな動植物の日長の変化に応じた生理機能の変化(光周性)の研究が進むようになりました。
 しかし光周性のメカニズムが遺伝子レベルで明らかにされたのはごく最近のことです。とくに私たちの研究室がウズラやマウスを研究モデルとして光周性を制御する遺伝子を世界で初めて特定してからは、動物が視覚を司る光受容器とは別の新規な光受容器で光を感じ取り脳に春を告げるホルモン合成を指示していることが明らかになってきました。光周性を制御する遺伝子がわかったので、日長の違いをどう認識しているのかを遺伝子レベルで明らかにする研究をさらに進めています。
 ニワトリ、ウズラは牛や豚に比べて少ない餌で短期間に成長し、宗教的な禁忌もないので、私たちの研究成果は世界の食糧問題の解決に貢献できます。さらに季節性感情障害という人の病気にも貢献することが期待され、その応用の世界が広がりつつあります。

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動物機能制御学

吉村  崇

教授 博士(農学)

1996年、名古屋大学大学院農学研究科畜産学博士後期課程中退、日本学術振興会特別研究員、名古屋大学大学院生命農学研究科助手、同准教授等を経て、2008年、名古屋大学大学院生命農学研究科教授、2008年〜2011年、鳥類バイオサイエンス研究センターセンター長、2013年、高等研究院トランスフォーマティブ生命分子科学研究所教授

マウスの活動リズムを調べるウズラの光周性リズムの違いを 観察する