今井 貴規(准教授 博士(農学))

木材の個性や特性を決定づける固有の成分を化学の力で解明し、木材の価値を高め、生物資源の利用を促進しようとしています。

 私たちにとって身近な木材、樹木は、化石資源に替わる有用な生物資源です。この木材を社会の中でさらに有効に利用するためには、美しい色や香り、腐りにくさといった良い性質を最大限に引き出すとともに、利用価値を下げるような悪い性質を抑えこむ必要があります。木材が持つこのような固有の性質とは、実はそのわずか5%ほどの成分に起因することが知られています。樹木には多くの種類があっても、そのほとんどの成分(主成分)には差が少なく、わずかな成分(副成分)の違いが木材の個性を決めてしまうのです。
 私たちは、この副成分がなぜ、そしていかに生成されるかを化学の力で明らかにしています。たとえばスギの心材には赤いものと市場価値が低い黒いものがありますが、研究室において黒い色に関わる化合物の生合成のしくみの一部を定めることができたのは大きな成果です。心材の色に関わる化学物質がわかれば、化学の力でスギの価値を高めることができるわけです。
 大切な木質資源の究極の有効利用とは樹木・木材の特性を最大限に発揮させることによって達成されるものです。今後とも、木材の抽出成分に関する基礎的な研究を発展させ、その利用をはかるとともに、社会貢献にもつながる研究をさらに推進していきます。

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循環資源利用学

今井 貴規

准教授 博士(農学)

1992年、名古屋大学大学院農学研究科林産学博士課程修了、日本学術振興会特別研究員、名古屋大学農学部助手、同助教授、フランス国立植物高分子成分研究センター研究員等を経て、2007年名古屋大学大学院生命農学研究科准教授

ロータリーエバポレーターを使い、カラマツの抽出液を濃縮し、副成分を取り出す木材の価値を高める基礎研究に取り組む研究室のメンバー